はじめに:なぜ釣り人は「潮回り」を気にするのか
釣りを始めたばかりの人がまず耳にする専門用語のひとつが「潮回り」です。
釣具店や釣り雑誌、ベテラン釣り師の会話の中で「今日は大潮やから釣れるで」「小潮は釣れん」といった言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
確かに潮回りは釣りに無関係ではありません。
しかし「大潮=爆釣」「小潮=釣れない」というのは半分迷信であり、釣り初心者が最も勘違いしやすいポイントでもあります。
この記事では、潮回りの基礎知識から迷信の正体、さらに実際にどのように釣果へ影響するのかを科学的かつ実践的に解説します。
潮回りとは?釣り人が気にする「大潮・小潮」の意味
潮回りとは、月と太陽の引力によって生じる潮の満ち引きの周期を示す言葉です。
1か月の中で以下のように変化します。
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大潮(おおしお)
最も干満差が大きい日。潮の動きが活発で、魚も動きやすいと言われる。 -
中潮(なかしお)
大潮と小潮の間。適度に潮が動き、初心者にも釣りやすい日。 -
小潮(こしお)
干満差が小さい日。潮が緩やかで動きが少ないため、一般的に「釣りに不利」とされる。 -
長潮・若潮
特殊な潮回りで、潮の動きが一時的に停滞することもある。
この「干満差の大きさ」が魚の動きやエサの流れに影響するため、昔から釣り人は潮回りを重視してきました。
潮回りが釣果に影響する理由
潮が動くと海中の環境が大きく変わります。
代表的な影響は以下の通りです。
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プランクトンや小魚が動く → それを追うフィッシュイーター(青物・アオリイカなど)が動く
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酸素量が増える → 魚の活性が上がる
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海水が循環する → 水温や濁りが変化し、魚が捕食しやすい環境が生まれる
このため、確かに「潮の動きがある=魚が釣れやすい」というのは間違いではありません。
初心者が信じ込みやすい「潮回り迷信」
迷信① 大潮なら必ず釣れる
実際には、大潮の日は潮が速すぎて仕掛けが流されやすく、釣りにくい場面も多々あります。
例えば堤防でのサビキ釣りではアジが散ってしまい、むしろ釣果が落ちるケースもあります。
迷信② 小潮は釣れない
小潮は潮の流れが緩やかで、仕掛けを安定させやすい日。
アオリイカのエギングやウキ釣りなどでは、かえって「やりやすい日」になることも少なくありません。
迷信③ 潮回りさえ見ればOK
実際の釣果は、潮回りよりも「時間帯」「天候」「ポイントの地形」の影響を強く受けます。
大潮でも真昼に炎天下で釣れば渋いことが多く、小潮でも朝マズメや夕マズメなら爆釣することもあります。
実際に釣果を左右する要素の優先度
釣果を大きく左右する要因を重要度順に並べると以下のようになります。
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ポイント(地形・ベイトの有無)
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時間帯(朝マズメ・夕マズメ)
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潮の動き(上げ始め・下げ始めなど)
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天候(気圧・風向き・曇天か晴天か)
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潮回り(大潮・小潮など)
つまり、潮回りそのものは最下位の要素であり、「潮が動くタイミング」を意識する方がはるかに実用的です。
潮回りとターゲット魚種の関係:事例解説
アオリイカ(エギング・ヤエン)
アオリイカは待ち伏せ型の捕食者で、潮が動くタイミングに活性が上がります。
ただし大潮で潮が速すぎるとエギが流され、初心者には扱いにくいことも。
小潮の緩やかな潮流でじっくり誘う方が釣果が安定する場合もあります。
青物(ブリ・ハマチ・カンパチ)
青物は回遊魚で潮の動きに敏感。
特に大潮・中潮の上げ潮ではベイトを追って回遊しやすく、狙い目となります。
ただし風向き(特に北西風)やベイトの有無が伴わなければ釣れません。
堤防のサビキ釣り(アジ・イワシ)
大潮では潮が速すぎて群れが散ることがあり、小潮の方が安定して釣れるケースも。
潮回りよりも「朝夕の時合」を重視するのが鉄則です。
初心者への具体的アドバイス
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潮回りは気にしすぎない。まずは時間帯重視で釣行計画を立てる。
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大潮だから釣れるとは限らない。むしろ潮止まり前後は避ける。
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小潮や長潮でも十分釣れる。特に堤防・湾内の釣りでは有利に働くことも多い。
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潮見表を見るときは「大潮・小潮」ではなく上げ始め・下げ始めの時間を確認する。
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天候・風向き・ポイントの地形条件を組み合わせて考える。
まとめ
潮回りは釣果にまったく無関係ではありませんが、「潮回り=釣果の決定要素」と考えるのは初心者が陥りやすい大きな誤解です。
釣果を左右するのは ポイント選び・時間帯・潮の動きのタイミング であり、潮回りはその補助的な目安に過ぎません。
「今日は小潮だから釣れない」と思って家にいるより、実際に竿を出した人の方がチャンスは確実に増えます。
初心者の方はぜひ潮回りに縛られすぎず、釣りを楽しんでください。


