夏の夜、南紀地方の海辺は釣り人の熱気で包まれます。
その中でも、ターゲットとして人気を集めるのが――
・コロダイ(イサキ科)
・タマミ(ハマフエフキ)
・シブダイ(笛鯛)
いずれも70cm超えの大型魚が狙えるため、ロマンあふれる釣りとしてファンも多いですが、“食味”においては圧倒的にシブダイが別格と評価されています。
なぜシブダイだけが美味とされるのか?
その理由を「魚体構造」「脂の質」「旬」「成分」「調理適性」の観点から、徹底的に分析・解説していきます。
シブダイが別格に美味しい5つの理由
① 脂の質とノリがまるで違う
シブダイの魅力は、上質でくどくない脂。
コロダイやタマミも脂がのる魚ですが、シブダイはしっとりと甘みを感じる脂質をもっています。
特に夏場に釣れる個体は脂のノリがピークで、中トロのような滑らかさと、赤身魚のうま味が共存。
「白身なのに、赤身の深みがある」と形容されることも多いです。
② 繊細で美しい身質
タマミやコロダイは筋繊維がやや荒く、焼き物向きですが、
シブダイの身は絹のようにきめ細かく、歯切れも絶妙。
刺身にしたときの舌触りと、加熱したときのふわっと感は、一度食べると忘れられないレベルです。
とくに地元の料理人は、
「魚の身質でいえば、南紀トップクラス」と太鼓判を押します。
③ 臭みが少なく、熟成向き
コロダイやタマミは大型になるほど内臓臭や磯臭さが出やすい傾向があります。
しかしシブダイは比較的クセがなく、内臓の処理さえ丁寧にすれば熟成にも強い魚。
数日寝かせても臭みは出にくく、
むしろ旨味が増して“ねっとり甘い身”へと進化します。
高級魚として流通しないのが不思議なレベルです。
④ 調理適性が非常に高い
刺身はもちろん、塩焼き・煮付け・唐揚げ・鍋物・潮汁と、どんな料理でも主役になれる万能魚。
なかでも潮汁(うしおじる)は絶品で、
アラから出る上品な出汁はフグにも匹敵すると料理人に評価されています。
「1尾で何通りも楽しめる」――
これが家庭料理や釣り人の間で人気の秘密です。
⑤ 釣れる時期が“味の最盛期”と重なる
シブダイは南紀で夏~初秋にかけて夜釣りで狙える魚です。
ちょうどその時期、エサをたっぷり食べて脂がのるため、釣れる個体の多くが“旬”の状態。
一方、コロダイやタマミは脂のバラつきがあり、味の当たり外れもあるのが実情です。
つまり、「釣ったときがそのまま食べ頃」なのがシブダイの最大の強みといえるでしょう。
南紀夜釣りの釣り人は“知っている人だけ狙う魚”
実は、コロダイやタマミに比べると、シブダイは釣り人の間でも知名度が低い部類です。
しかし、一度味わった釣り人の多くがこう言います。
「もうコロダイには戻れん」
「タマミより旨い魚がいるなんて知らなかった」
釣りの楽しさと、食の楽しさ。
その両方を高次元で満たしてくれるのが、**“別格のうまさ”を持つシブダイ(笛鯛)**なのです。
まとめ|シブダイは釣って楽しい、食べて驚く“幻の白身魚”
南紀の夏の夜釣り――
大型魚狙いで盛り上がるシーズンですが、「釣果=味」ではありません。
シブダイは、釣れる数こそ少ないものの、釣れた時の喜びと、食べた時の感動は別格。
釣り上げたときは見た目が地味でも、
「こんなにうまい魚がいたのか」と驚くこと間違いなし。
南紀の釣りをもっと深く楽しみたい方は、
今年の夏、“シブダイ狙い”に挑戦してみてはいかがでしょうか?


