堤防でサビキ釣りをしていると、真っ赤な魚の大群に遭遇したことはありませんか。
撒き餌を打つと、水面が真っ赤に染まるほどの数で群がる、あの魚。
そう、「ネンブツダイ」です。
和歌山・南紀では、その見た目から「金魚(キンギョ)」と呼ばれ、多くの釣り人から嫌われています。
「エサばかり取られる」
「本命の邪魔をする」
そんな悪役のレッテルを貼られ、釣れても堤防にポイ捨てされてしまうことも。
でも、はっきり言います。
ネンブツダイを捨てるのは、非常にもったいない。
実は、食べれば料亭級に美味しく、泳がせ釣りに使えば「幻の高級魚」を連れてくる、とんでもないポテンシャルを秘めた魚なんです。
今回は、嫌われ者のネンブツダイの名誉挽回のために、その生態から美味しい食べ方、そして最強の活き餌としての活用術まで、徹底的に解説します。
1. ネンブツダイとは?その生態と特徴
まず、彼らがどんな魚なのかを知りましょう。
■名前の由来 口の中で卵を育てる習性(口内保育)があり、その姿が「念仏を唱えている」ように見えることから名付けられました。
オスが献身的に卵を守る、イクメン魚なんです。
■見分け方 体長は7〜10cmほど。
全体的に赤っぽく、頭の後ろ(目の上あたり)に黒い斑点があるのが特徴です。
よく似た魚に「クロホシイシモチ」がいますが、こちらは尾びれの付け根に黒い点があるので見分けられます。
■生息域 浅い岩礁帯や堤防周りに巨大な群れを作ります。
特に夜行性ですが、日中でも岩陰や影のある場所にびっしりと張り付いています。
2. なぜ嫌われる?「エサ取り」としての猛威
フカセ釣りやサビキ釣りをする人にとって、彼らは天敵です。
理由は単純、「数が多すぎる」から。
オキアミを撒いた瞬間、ピラニアのように食い尽くしてしまいます。
本命のグレやチヌにエサが届く前に、全部食べられてしまうのです。
■対策はあるのか?
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分離作戦: 足元に大量の撒き餌をしてネンブツダイを釘付けにし、本命用の仕掛けを遠投する。
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エサを変える: オキアミではなく、練りエサやコーンなど、彼らが好まない(または口に入らない)硬いエサを使う。
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夜釣りに切り替える: 夜行性なので夜も元気ですが、大型魚の警戒心が薄れる夜なら、ネンブツダイごと丸呑みにしてくれる大物が期待できます。
3. 【食べる】実は高級魚?「唐揚げ」は絶品
「あんな小さい魚、食べるところないでしょ?」
そう思っているあなた、大損しています。
ネンブツダイは、実は非常に美味しい白身魚です。
クセがなく、ほんのりとした甘みがあり、上品な出汁が出ます。
ただ、骨が硬いのが難点。
そこで、おすすめなのが「唐揚げ」です。
■ネンブツダイの唐揚げレシピ
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下処理: 鱗(ウロコ)を取り、頭と内臓を落とす。小さいので指でつまんで処理できます。
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水分を拭く: キッチンペーパーでしっかり水気を取ります。
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揚げる: 片栗粉をまぶし、160度くらいの低温の油でじっくり揚げます。
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二度揚げ: 最後に高温でカラッと二度揚げすると、骨までサクサクのお煎餅のようになります。
これに塩を振って食べれば、ビールのつまみが止まりません。
子供のおやつとしても最高で、カルシウム満点です。
他にも、良い出汁が出るので「味噌汁」や、酢に漬け込んで骨まで柔らかくする「南蛮漬け」も絶品です。
4. 【釣る】クエ・ヒラメ・アオリイカの「特効エサ」
ネンブツダイの真骨頂は、実は「エサ」としての能力です。
南紀の海において、ネンブツダイは食物連鎖の底辺を支える重要なベイト(エサ)です。
つまり、フィッシュイーター(肉食魚)たちは、普段からこれを食べているのです。
■狙える大物たち
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クエ(九絵): 磯の王者クエは、ネンブツダイが大好物です。
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ヒラメ・根魚: カサゴやハタ類、ヒラメもよく食いつきます。
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アオリイカ: アジがない時、ネンブツダイを泳がせてもアオリイカは抱いてきます。
■使い方のコツ 針は、口掛けか背掛けにします。
ネンブツダイは水から上げるとすぐに弱ってしまうので、手早くセットするのがコツです。
現地で調達できる「無料」のエサで、高級魚クエが釣れるかもしれない。
そう考えたら、あの赤い群れが「宝の山」に見えてきませんか。
まとめ:海に無駄な魚はいない
大量に釣れてしまったら、捨てずに持ち帰って唐揚げにしてみてください。
あるいは、バケツに活かしておいて、一発大物狙いの泳がせ釣りに使ってみてください。
「金魚」と呼んで馬鹿にしていた魚が、あなたに最高の晩酌と、メモリアルフィッシュをもたらしてくれるかもしれません。
釣太郎では、ネンブツダイ対策の撒き餌ワークや、持ち帰るためのクーラーボックス選びもアドバイスしています。
「今日は金魚しか釣れなかった~」と嘆く前に、ぜひその価値を見直してみてくださいね。

