南紀の海は、ただ釣れるだけではありません。
「ここで釣れた魚を食べると、他の場所の魚が食べられなくなる」
そんな冗談のような話を、私たちは本気で信じています。
理由は明確。
栄養豊富な**「黒潮」**がぶつかる海流。
そして、魚たちの隠れ家となり、山からの養分が流れ込む複雑な**「リアス式海岸」**。
この二つの奇跡が重なる南紀は、魚にとって最高のレストランであり、最高のジムでもあります。
よく食べて、激流でよく泳いだ魚が、美味しくないわけがありません。
今回は、そんな南紀の海を知り尽くした釣太郎が選ぶ、**「南紀でこそ食べてほしい魚 ベスト10」**を発表します。
正直、順位をつけるのが苦しいほどの激戦です。
第1位:幻の高級魚「クエ(九絵)」
文句なしの王様です。
南紀はクエの魚影が濃いことでも知られる、本場のフィールド。
磯や堤防から狙える夢の魚ですが、その味は「白身のトロ」と称されるほど。
ゼラチン質の皮、濃厚な脂、そして上品な甘み。
一度クエ鍋を食べれば、人生観が変わると言っても過言ではありません。
第2位:赤い彗星「アオリイカ(レッドモンスター)」
南紀といえば、やはりこれ。
特に春に釣れる3kg、4kgクラスの「レッドモンスター」は、別格です。
肉厚なのに、歯を入れるとサクッと噛み切れ、その後から濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。
刺身はもちろん、一夜干しにして炙った時の香りは、酒泥棒そのものです。
第3位:居着きの黄金「マアジ(平アジ)」
「どこでも釣れるアジが3位?」と思われるかもしれません。
しかし、南紀の入り組んだ湾内に定着した、背中が黄色味がかった「居着きのアジ」は別物です。
回遊型のアジと違い、湾内の豊富なプランクトンを食べてあまり動かないため、全身が脂の塊。
これを食べ慣れている地元の人間は、他のアジには箸が伸びません。
第4位:梅雨の主役「イサキ」
「梅雨イサキ」という言葉がありますが、南紀のイサキは初夏から最高潮を迎えます。
皮と身の間の脂が凄まじく、炙りにすると皮がバチバチと音を立てるほど。
白子や真子も絶品で、塩焼きにすると滴る脂で炭火が消えることもあります。
第5位:冬の風物詩「イガミ(ブダイ)」
これは南紀特有の食文化かもしれません。
他県では敬遠されがちな魚ですが、ここ南紀では「正月にはイガミの煮付けがないと始まらない」と言われるほどの愛され食材。
磯の香りがする海藻を食べて育った身は、煮付けるとカニのような風味と、独特のモチモチ感が出ます。
第6位:戻りも初めも「カツオ(ケンケン鰹)」
黒潮のお膝元ですから、カツオの鮮度は日本一レベルです。
特に地元の漁師さんが一本釣りで釣り上げ、その場で活け締め処理をした「ケンケン鰹」。
これの「モチガツオ(死後硬直前の餅のような食感)」を食べられるのは、産地である南紀だけの特権です。
第7位:磯の赤い宝石「アカハタ」
近年、ルアーマンにも大人気のロックフィッシュ。
煮付けや酒蒸しにすると、そのポテンシャルが爆発します。
身離れがよく、プリッとした弾力の後にくる、甲殻類のような濃い旨味。
派手な見た目に負けない、強烈な美味しさを持っています。
第8位:肝が本体「カワハギ・ウマヅラハギ」
南紀の豊かな海で育ったハギ類は、肝の入り方が違います。
冬場、パンパンに膨れたお腹のハギを釣り上げ、その肝を溶かした醤油で刺身を食べる。
これ以上の贅沢があるでしょうか。
フォアグラを超えると評される、海の珍味です。
第9位:桜色の貴婦人「マダイ」
激流の黒潮で揉まれた南紀のマダイは、尾びれの付け根の筋肉が発達しています。
養殖物とは比較にならない運動量豊富な身は、コリコリとした歯ごたえと、噛むほどに溢れる脂の甘みが特徴。
「腐っても鯛」と言いますが、ここの鯛は新鮮なら神の味がします。
第10位:銀色の太刀「タチウオ」
南紀の港周りで釣れるタチウオは、ベルトサイズからドラゴン級まで様々。
特に冬場の大型は、まるでバターのように脂が乗っています。
刺身で皮目を炙ってもよし、天ぷらにしてフワフワの身を楽しむもよし。
どう料理しても失敗のない、優等生です。
■ 結論:南紀に来たら、釣って食べるまでが「釣り」
いかがでしたでしょうか。
ランキング形式にしましたが、正直どれも甲乙つけがたい美味しさです。
スーパーで買う魚も便利ですが、自分の手で釣り上げ、最高の処理をした南紀の魚は、流通している魚とは「別の生き物」だと思ってください。
今週末、クーラーボックスを空っぽにして来ても、帰る頃には「海の宝石」で満たされているはずです。
最高の味覚を求めて、ぜひ南紀・釣太郎へお越しください。

