アオリイカは魚に比べて匂いが少ないのか?

結論から言うと、
アオリイカは多くの魚に比べて、明らかに匂いが出にくい生き物です。

これは感覚的な話ではなく、
体の構造、生理、腐敗の進み方、すべてに理由があります。

釣り人が
「イカはクーラーに入れても臭くなりにくい」
「家に持ち帰っても魚臭さが残らない」
と感じるのは、きちんとした科学的背景があります。


そもそも「魚の匂い」の正体とは?

魚の匂いの正体は、主にこの3つです。

トリメチルアミン(TMA)

魚が死後、体内で発生する強烈な生臭さの原因物質。
特に青魚や白身魚で顕著。

血液・内臓由来の腐敗臭

血が多い魚ほど、
放置すると一気に匂いが立ちやすい。

表皮の粘液と細菌

魚の体表には常に粘液があり、
ここに雑菌が繁殖すると独特の魚臭が出る。

つまり、
魚は「匂いが出やすい条件」を最初から多く持っている生き物です。


アオリイカが匂いにくい理由①:血がほとんどない

アオリイカは、
魚のように全身を巡る赤い血液を持っていません。

イカの血液は「ヘモシアニン」という無色に近い物質で、
量も非常に少ない。

そのため、
・血生臭さが出にくい
・血液由来の腐敗臭がほぼない

これだけで、
魚との匂いの差は圧倒的です。


アオリイカが匂いにくい理由②:内臓がコンパクトで独立している

魚は腹を開くと、
内臓が身に密着して配置されています。

一方アオリイカは、
内臓が胴の中心にまとまっており、
身(外套膜)と明確に分かれている構造。

このため、
内臓由来の腐敗が身に広がりにくい。

釣ったあと、
内臓を早めに抜くだけで、
匂いの発生源をほぼ遮断できます。


アオリイカが匂いにくい理由③:表皮に強い粘液がない

魚の体表はヌルヌルしていますが、
これは細菌の温床にもなります。

アオリイカの表皮は、
ぬめりがほとんどなく、乾いた質感。

そのため、
・表面で雑菌が増えにくい
・クーラー内で他の魚に匂い移りしにくい

実際、
魚とイカを同じクーラーに入れても、
匂いを出すのはほぼ魚側です。


アオリイカが匂いにくい理由④:アンモニア臭が発生しにくい

魚は死後、
アンモニア系の臭気成分が発生しやすい。

一方イカは、
筋肉中の成分構成が違い、
アンモニア臭が立ちにくい。

これが、
「時間が経っても嫌な匂いがしない」
と感じる最大の理由のひとつです。


それでも匂うアオリイカがある理由

「イカでも臭うことがある」
これは事実です。

原因はほぼこの3つ。

・締めずに放置した
・内臓を潰した
・真水氷で直接冷やした

特に真水氷は要注意。
浸透圧の影響で身が傷み、
本来出にくい匂いまで引き出してしまいます。


アオリイカの“匂いの少なさ”は鮮度管理でさらに活きる

正しく扱えば、
アオリイカは
「生臭さゼロに近い食材」になります。

・活〆、もしくは即冷却
・内臓は丁寧に処理
・冷却は海水氷

これだけで、
刺身にしたときの透明感、甘み、香りが段違い。

「イカは臭くない」ではなく、
「正しく扱ったアオリイカは、驚くほど匂わない」
これが正解です。


まとめ:アオリイカは構造的に“匂いにくい生き物”

アオリイカは、
・血が少ない
・内臓が独立している
・表皮に粘液が少ない
・腐敗臭が出にくい成分構成

この条件が揃った、
非常にクリーンな食材です。

だからこそ、
釣った瞬間からの扱いで、
味も香りも天と地ほど差が出る。

アオリイカが「高級」と言われる理由は、
大きさや希少性だけではありません。

匂いの少なさ=素材の完成度の高さ
それを一番実感できるのが、
釣り人特権というわけです。

タイトルとURLをコピーしました