釣りの現場でよく聞く「活締め(いけじめ)」。
初心者の方からすれば「残酷に見える」「面倒くさそう」と感じるかもしれません。
しかし、釣った魚を最高に美味しく持ち帰るためには、このひと手間がすべてを決めます。
今回は、なぜ魚を締めるのか、その科学的な理由をわかりやすく解説します。
なぜ「活締め」が必要なのか?
魚は釣り上げられた瞬間、猛烈なストレスを感じて暴れます。
この時、魚の体内ではエネルギー源である「ATP(アデノシン三リン酸)」が急激に消費されます。
ATPは魚が死んだ後、旨味成分である「イノシン酸」に変化する大切な要素です。
暴れさせてATPを使い果たしてしまうと、旨味がなくなるだけでなく、身の中に乳酸が溜まって味が落ち、死後硬直も早まってしまいます。
つまり、**「魚が疲れる前に、脳を即座にシャットダウンさせる」**ことが鮮度保持の絶対条件なのです。
どこの神経を切断しているのか?
活締めの基本は、まず**「脳死」させ、次に「脊髄(神経)」**を破壊することです。
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脳の破壊: 目と目の間の少し後ろ、いわゆる「急所」にピックを刺し、即死させます。これで魚の暴走を止めます。
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脊髄の切断・破壊: 脳から尾っぽまで通っている「中枢神経」を物理的に壊します。 魚は脳が死んでも、神経が生きていれば細胞が反応し続け、エネルギーを消費してしまいます。 ワイヤーなどで背骨のすぐ上を通る神経を壊すことで、細胞の活動を完全にストップさせるのです。
活締めをすると、結果どうなる?
適切に締めた魚には、驚くべき変化が現れます。
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旨味成分が最大化する: ATPが温存され、じっくりと旨味(イノシン酸)に変わります。
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身の弾力が持続する: 死後硬直を遅らせることができるため、数日間寝かせても「プリプリ」や「しっとり」とした食感を楽しめます。
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生臭さが消える: 血抜きを同時に行うことで、細菌の繁殖や酸化による生臭さを根本から防ぎます。
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色が鮮やか: 血が回らないため、身が白く透き通り、見た目も美しい刺身になります。
釣太郎からのアドバイス
「締めるのは難しそう」と思うかもしれませんが、まずはエラを切って血を抜き、海水氷で急冷するだけでも味は劇的に変わります。
せっかく南紀の綺麗な海で釣った命です。
最高の状態で持ち帰って、海の恵みを最後まで美味しく味わいましょう。
お店に来ていただければ、締め方のコツや道具の使い方もお教えしますよ。

