アオリイカは冷凍することで繊維が壊れ、甘みが増すと言われています。
しかし、それは「正しい手順」を踏んだ場合のみ。
結論から申し上げましょう。
美味しさを決めるウェイト(重要度)は以下の通りです。
下処理:50% 冷凍 :20% 解凍 :30%
意外に思われるかもしれませんが、勝負の半分は「冷凍庫に入れる前」に決まっています。
それぞれの工程の「キモ」を解説します。
1. 下処理(ウェイト50%):水分と汚れは親の仇と思え
ここが一番の分かれ道です。
多くの人がやりがちな失敗は、チャック袋にそのまま放り込むこと。
これはNGです。
【真水は禁物】
食べる直前まで、真水で洗ってはいけません。
浸透圧で旨味が逃げ出し、水っぽくなる原因になります。
【墨とヌメリの完全除去】
キッチンペーパーで、表面のヌメリと墨を徹底的に拭き取ってください。
この「ヌメリ」こそが、解凍時の生臭さの元凶です。
内臓もこの段階で引き抜き、胴とゲソに分けておくのがベスト。
最後に、専用の吸水シートやキッチンペーパーで包み、余分な水分を極限まで取ること。
これができれば、50点は確保したも同然です。
2. 冷凍方法(ウェイト20%):空気遮断とスピード勝負
下処理さえ完璧なら、家庭用冷凍庫でも十分美味しくなります。
ポイントは「酸化」と「細胞破壊」を防ぐこと。
【ラップ+ジップロックの二重奏】
空気に触れると冷凍焼け(酸化)します。
1杯ずつ(あるいは1食分ずつ)ラップでピチッと隙間なく包みます。
それをフリーザーバッグに入れ、空気を抜いて密閉。
【金属トレーで急速冷凍】
熱伝導率の良い金属(アルミやステンレス)のトレーに乗せて冷凍庫へ。
素早く凍らせることで、解凍時のドリップ(旨味の流出)を最小限に抑えられます。
3. 解凍方法(ウェイト30%):焦りは禁物、「氷水」が正解
最後の仕上げです。 ここで電子レンジや流水(真水)を使うと、今までの努力が水の泡になります。
【最強の「氷水解凍」】
ボールに氷水を張り、袋のままのアオリイカを浸けます。
冷蔵庫解凍よりも早く、熱伝導で均一に、かつ0度近い温度を保ったまま解凍できます。
この「低温キープ」こそが、身のプリプリ感を残す秘訣です。
指で押して少し芯が残る「半解凍」くらいで切り始めるのが、一番切りやすく、鮮度も保てます。
まとめ:手抜きは味に出る
「たかが冷凍、されど冷凍」です。
特に「下処理(水気取り)」に手を抜くと、どんな高級なイカも台無しになります。
釣ったアオリイカへの最後のリスペクトとして、丁寧に処理してあげてください。
数日後、食卓で「これが冷凍?」と驚く家族の顔が見られるはずです。

