アジは、日本で最も身近な魚の一つです。
しかし
その評価は長年「安い」「大衆魚」「サビキで釣れる魚」という
軽いイメージに縛られてきました。
ところが
釣り人の間では昔から
「これは別物だ」と言われるアジが存在します。
それが
体高があり、太く、短いアジです。
この記事では
アジという魚を
・生物学的視点
・釣り人の現場感
・食味と構造
この三方向から
どこよりも深く解説します。
アジとはどんな魚か
アジの正式分類
・スズキ目
・アジ科
・マアジ属
日本で一般的に「アジ」と呼ばれるのは
ほぼすべてマアジです。
マアジは
日本近海において
回遊性と居付き性の両方を併せ持つ
非常に珍しい魚です。
アジの最大の特徴は「適応力」
アジは
・沖を回遊する
・湾内に入る
・港に居着く
・潮通しの良い磯に付く
すべて可能です。
つまり
環境に合わせて
体型も、脂の乗り方も、味も
変化する魚なのです。
アジの体型が語るすべて
アジを見る時、最初に見るべき場所
釣り人がアジを手にした時
最初に見るべきは
体長ではありません。
見るべきは
体高です。
体高とは
背中から腹までの厚み。
なぜ体高のあるアジは美味しいのか
筋肉構造の違い
体高のあるアジは
筋肉の量が明らかに違います。
細長いアジ
→ 推進力重視
→ 常に泳ぎ続ける
→ 脂が溜まりにくい
体高のあるアジ
→ 瞬発力重視
→ 必要な時だけ動く
→ 脂を蓄える
この違いが
味の差になります。
脂の付き方が全く違う
体高のあるアジは
脂が
・腹側
・背中側
・筋肉の間
全体に分散します。
この状態を
釣り人はよく
「全身トロ」と表現します。
一方
体高のないアジは
脂が局所的で
水っぽさが出やすい。
アジの脂は「筋肉の中」にある
ここが
アジ最大の特徴です。
ブリやマグロは
脂が層になります。
しかし
アジは
筋繊維の間に
細かく脂が入り込む。
これにより
・刺身で甘い
・焼いてもパサつかない
・干物にすると別格
という特性が生まれます。
体高が出る理由は「生き方」
潮と戦うアジ
体高のあるアジは
潮の速い場所に居ます。
・岬周り
・水深のある堤防
・磯に近い港
潮に逆らうため
体が横に広がり
筋肉が発達します。
回遊アジと居付きアジの決定的違い
回遊アジ
・細長い
・脂が少ない
・数釣り向き
居付きアジ
・体高がある
・脂が多い
・大型化しやすい
南紀で言われる
「寒尺アジ」は
この居付き型の極致です。
アジの味は水温で激変する
冬アジが別格な理由
水温が下がると
アジは
・代謝が落ちる
・無駄に泳がなくなる
・脂を溜め込む
その結果
体高がさらに増し
味がピークに達します。
釣り人がアジを見る時のチェックポイント
1 体高があるか
2 頭が小さく見えるか
3 腹がパンとしているか
4 背中が盛り上がっているか
この条件が揃えば
そのアジは
間違いなく「当たり」です。
アジは処理で化ける魚
体高のあるアジほど
処理の影響を受けやすい。
・暴れさせない
・即冷却
・海水氷が理想
これだけで
味は別次元になります。
要約
アジは決して安い魚ではありません。
体高のあるアジは
・環境
・生き方
・筋肉構造
すべてが噛み合った完成形です。
釣り人だけがその価値を知ることができる魚。
それがアジです。

