南紀の黒潮にもまれて育った「寒尺アジ」。
丸々と太り、黄金色に輝くその魚体は、まさに海の宝石です。
せっかくこのクラスの大物を釣ったのなら、スーパーの刺身とは次元の違う味を楽しみたいはずです。
重要なのは「冷やすスピード」と「水分の管理」です。
釣り場で行う数分間の作業が、食卓での感動を約束します。
プロも実践する、アジの旨味を100%閉じ込める持ち帰り方をご紹介します。
見出し構成
1. なぜ「南紀の寒アジ」は日本一なのか?
まず、素材の価値を知ってください。
冬の南紀エリアは、豊富なプランクトンと激しい海流がぶつかる好漁場です。
ここで育つアジは、運動量が多いため身が引き締まっているにも関わらず、
寒さから身を守るために内臓脂肪だけでなく、全身に細やかなサシ(脂)が入ります。
この極上の脂を酸化させず、身を緩ませずに持ち帰るためには、特別な配慮が必要です。
2. 手順①:釣れたら即「脳締め」でATPを守る
アジは非常に暴れやすい魚です。
「バタバタバタ!」と甲板で暴れさせた瞬間、旨味成分の元となるATP(アデノシン三リン酸)が激減します。
釣れたら即座にフィッシュピックなどで脳を突き、動きを止めてください。
「暴れさせない」ことが、身の透明感と歯応えを残す第一条件です。
特に尺を超えるサイズは力が強いため、この工程を飛ばすと確実に味が落ちます。
3. 手順②:エラ膜を切って海水で放血
脳締めで動かなくなったら、エラ膜の一部をナイフやハサミで切断します。
その後、バケツに汲んだ海水の中でアジを振り、血を抜きます。
心臓が動いているうちに素早く行うのがコツです。
血が残ると、せっかくの上品な脂に生臭さが混じってしまいます。
完全に血が抜けたら、次の冷却工程へすぐ移ります。
4. 手順③:最強の冷却法「潮氷(海水氷)」にドブ漬け
ここが最大のポイントです。
クーラーボックスに「氷」と「海水」を入れ、シャーベット状の「潮氷(しおごおり)」を作っておきます。
血抜きを終えたアジを、このマイナス温度に近い冷水に直接放り込みます(ドブ漬け)。
空気冷却(氷の上に置くだけ)では、魚の中心まで冷えるのに時間がかかり、その間に鮮度が落ちます。
液体である潮氷なら、魚体の表面全体から一気に熱を奪い、数分で「芯まで」キンキンに冷やすことができます。
この「瞬時冷却」こそが、鮮度をロックする鍵です。
5. 手順④:冷えたら「水気」を切って保冷
アジが完全に冷えたら(15〜30分程度)、潮氷から取り出すか、水を抜くことが理想です。
長時間水に浸けすぎると、浸透圧で身が水っぽくなったり、目が白くなったりします。
最高の状態を目指すなら、冷えたアジを一匹ずつ新聞紙や保存袋に包み、
氷に直接触れないようにしてクーラーボックスに並べます。
この一手間で、身割れを防ぎ、皮目の美しい銀色を保ったまま持ち帰ることができます。
まとめ
南紀の寒尺アジを日本一美味しく食べる手順は以下の通りです。
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釣れた瞬間に脳締め(ATP保存)
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素早く血抜き(臭み除去)
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潮氷で瞬時に芯まで冷却(鮮度ロック)
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水気を切って持ち帰る(身質の保護)
これを行えば、家に帰った時、身は死後硬直前のプリプリの状態、脂は甘くとろける最高の刺身が待っています。
この感動を味わえるのは、現場にいる釣り人だけです。
釣太郎の海水氷は1キロ200円、3キロ400円を使えばさらに極上となります。


