1. 釣ったアジ、本当に美味しく食べていますか?
「釣りたてのアジは美味しい」というのは間違いありません。
しかし、そのポテンシャルを100%引き出せている人は、意外と少ないのが現実です。
実は、魚の味は海から上がった後の処理、つまり「締め方」で9割が決まると言っても過言ではありません。
サビキ釣りで数が釣れる時こそ、良型のアジだけでも丁寧に処理してみませんか。
今回は、アジの旨味を極限まで残すための「脳締め」と「血抜き」の手順を解説します。
2. なぜ「そのまま氷締め」じゃダメなのか?
一般的に、アジなどの小型回遊魚は、釣れたらすぐに氷水に入れて締める「氷締め(野締め)」がポピュラーです。
もちろん、これでも十分美味しいのですが、刺身で食べるならもうワンランク上を目指しましょう。
魚が暴れてストレスを感じると、旨味成分の元になる「ATP」というエネルギー物質が激減してしまいます。
また、血液が体内に残っていると、それが生臭さの原因となり、腐敗の進行も早めます。
「即座に絶命させてエネルギー消費を止める(脳締め)」こと。
そして「生臭さの元を排出する(血抜き)」こと。
この2つを行うことで、透明感のある身と、数日寝かせても美味しい熟成魚を作ることが可能になります。
3. 用意するのは「ピック」と「ハサミ」だけ
特別な道具は必要ありません。
釣具店で売っている「締めピック(アジ締めピック)」や、先が尖ったハサミがあれば十分です。
「釣太郎」では、初心者の方でも扱いやすい、握りやすいグリップのピックもご用意しています。
4. 実践!アジの「脳締め」手順
まずは魚の動きを止め、ATPの減少を食い止めます。
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アジをしっかり押さえる 魚が暴れないように、タオルやメゴチバサミでしっかり魚体を固定します。 ※この時、熱い素手で触りすぎないように注意してください。
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脳の位置を探す アジの目の少し斜め後ろ、エラ蓋の延長線上あたりに、少し柔らかい窪みがあります。 ここが脳天です。
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ピックを刺す 窪みに向かってピックを一気に突き刺します。 成功すると、アジの口が「ガバッ」と開き、背ビレがピンと立ち、その後全身の力が抜けて動かなくなります。 この反応があれば脳締め成功です。
5. 仕上げの「血抜き」手順
脳締めで動かなくなったら、すぐに血を抜きます。
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エラ膜を切る エラ蓋を開け、エラの上部(背骨側)にある膜をハサミかナイフで切断します。 ここには大動脈が通っており、切るとドクドクと血が出ます。
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海水の中で振る 海水を汲んだバケツの中にアジを入れ、尾を持って数回振ります。 水の中で振ることで、血が抜けやすくなります。 バケツの水が赤く染まれば、血が抜けている証拠です。
6. 最後はやっぱり「海水氷」
完璧に締めて血を抜いても、保存温度を間違えれば全て台無しです。
ここで登場するのが、以前の記事でも解説した「海水氷(潮氷)」です。
真水の氷に直接魚を当ててしまうと、浸透圧の違いで魚の細胞が水を吸い、身が水っぽくなってしまいます。
たっぷりの氷に海水を注ぎ、キンキンに冷えた海水氷を作ってください。
そこに処理したアジを漬け込めば、芯まで一気に冷え、最高の鮮度が保たれます。
7. まとめ:一手間で「極上のアジ」へ
最初は手間に感じるかもしれませんが、慣れれば1匹あたり数十秒で完了します。
特に20cmを超える良型のアジや、30cm超えの「尺アジ」が釣れた時は、ぜひこの処理を試してみてください。
その日の晩酌、あるいは翌日の刺身を食べた瞬間、「今まで食べていたアジは何だったんだ?」
と驚くはずです。
最高の食材を最高の状態で持ち帰る。 これもまた、釣り人の特権であり、楽しみの一つです。

