アジは、日本の海釣りでもっとも身近な魚のひとつです。
サビキでも釣れる。
数も釣れる。
誰でも持ち帰れる。
しかし同時に、非常にデリケートな魚という事実は、あまり知られていません。
結論から言います。
アジの品質と美味しさは、釣った後の数分で9割決まります。
そして、その9割を決める最後の仕上げが冷やし方=海水氷です。
なぜアジは「釣った後」がすべてなのか
アジは、見た目以上に繊細な魚です。
・筋肉が柔らかい
・血合いが多い
・水分量が多い
この条件が重なると、時間と温度の影響を非常に受けやすくなります。
つまり、
・釣った瞬間から
・何もしなければ
・味が落ち続ける魚
それがアジです。
釣った直後、アジの体内で起きていること
アジは釣られた直後、必ず激しく暴れます。
このとき体内では、
・乳酸の急増
・ATP(旨味の元)の消費
・血液の全身循環
・体温上昇
が同時に起きています。
この状態を数分放置するだけで、
・身は硬くなり
・旨味は伸びず
・水っぽくなりやすい
アジになってしまいます。
なぜ「数分」で9割が決まるのか
アジの怖さは、臭う前に美味しくなくなるという点にあります。
・まだ食べられる
・臭いも強くない
・見た目も問題ない
それでも、「なんか旨くない」
この状態になるのが、アジです。
そしてこの差は、
・すぐ活締めしたか
・血抜きをしたか
・冷却を始めたか
この釣った後の数分でほぼ決まります。
活締めと血抜きでアジは別物になる
釣った直後に素早く活締めをすると、
・無駄な暴れを止められる
・乳酸の発生を抑えられる
・ATPを温存できる
さらに血抜きを行うことで、
・血合いの劣化を防ぐ
・生臭さを抑える
・身色が良くなる
同じアジでも、ワンランク上の食材になります。
冷やし方でアジの旨さはさらに変わる
ここで重要なのが冷却方法です。
よくあるのが、
・真水氷に直接当てる
・溶けた水に浸かる
・クーラー内が水浸し
この状態。
アジは真水に非常に弱く、
・浸透圧で身から水分が出る
・身が水っぽくなる
・旨味が薄まる
という結果になります。
なぜ海水氷がアジに効くのか
海水氷は、海の塩分濃度に近い氷です。
そのため、
・身から水分が抜けにくい
・細胞破壊が起きにくい
・ドリップが出にくい
というメリットがあります。
つまり、アジ本来の旨味を閉じ込めたまま冷却できる
これが海水氷の最大の強みです。
海水氷で冷やしたアジの違い
実際に違いが出るのは、
・刺身の食感
・身の張り
・甘みの強さ
・後味のクリアさ
特に分かりやすいのが、寒い時期の尺アジです。
脂が乗ったアジほど、冷やし方の差がそのまま味の差になります。
釣り人がやるべきアジの基本動作
アジを最高の状態で持ち帰るには、
・釣ったらすぐ活締め
・可能なら血抜き
・真水に触れさせない
・できるだけ早く海水氷で冷却
これだけで、アジの評価はまったく変わります。
まとめ
・アジの品質と美味しさは釣った後の数分で9割決まる
・放置すると暴れで一気に劣化が進む
・活締めと血抜きで味の伸び代を守れる
・冷やし方で最終的な旨さが決まる
・海水氷はアジの旨味を最大限残せる
アジは「簡単に釣れる魚」ではありません。
丁寧に扱った人だけが、本当の旨さを味わえる魚
です。
釣り人の腕は、釣った後の数分で試されています。

