冬のロックフィッシュシーズン、お腹がパンパンに膨れたガシラ(カサゴ)が釣れることがあります。
「これは卵を持っているな」と思われがちですが、実は少し違います。
今回は、意外と知られていないガシラの産卵数や、厳しい自然界での生存率について解説します。
1. ガシラは「卵」を産まない?(卵胎生について)
まず一番の驚きポイントですが、ガシラは卵を産みません。
ガシラは**「卵胎生(らんたいせい)」**といって、お腹の中で卵を孵化させ、稚魚(赤ちゃん)の状態にしてから放出します。
冬場に釣れるお腹の大きいガシラは、まさに今、お腹の中で赤ちゃんを育てている最中なのです。
海中に放出された直後の稚魚は、体長約3~4mmほどしかありません。
2. 一度にどれくらい産むの?(産仔数)
では、1回の出産でどれくらいの稚魚が生まれるのでしょうか。
これには個体の大きさ(母体のサイズ)が大きく関係します。
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20cmクラスのメス: 約3万匹~5万匹
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大型(25cm以上)のメス: 10万匹以上になることも
ガシラは1シーズン(11月~4月頃)の間に、なんと3回~4回に分けて出産を繰り返します。
つまり、1匹のメスがひと冬に生み出す稚魚の数は、合計で10万匹~数10万匹にも上るのです。
3. ガシラの生涯産卵数は?
ガシラは根魚の中でも寿命が長く、成長は遅い魚です。 一般的に寿命は10年以上と言われています。
成魚になってから(約3年目以降)、毎年冬に数10万匹を産み続けると仮定しましょう。
単純計算ですが、長生きした大型のガシラは、その生涯で100万匹単位の子孫を残していることになります。
まさに「海の母」と呼ぶにふさわしい存在です。
4. 成魚まで育つ確率は?(生存率)
「そんなに産むなら、海がガシラだらけになるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、自然界は残酷です。
放出された数mmの稚魚は、最初のうちはプランクトンとして海中を漂います。
この時期に、アジやイワシ、他の小魚などに大半が捕食されてしまいます。
実際に成魚(釣れるサイズ)まで生き残れる確率は、以下の通りと言われています。
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生存率:約0.001% ~ 0.01%程度
これは、1万匹~10万匹生まれて、やっと1匹が生き残れるかどうかという数字です。
つまり、私たちが普段釣っている20cmのガシラは、数万の兄弟の中で唯一生き残った「奇跡の1匹」なのです。
まとめ:冬のガシラ釣りで意識したいこと
ガシラの繁殖力は凄まじいですが、それ以上に自然界での生存競争は過酷です。
成長が遅く、20cmになるまでには5年以上の歳月がかかります。
お腹の大きい個体や、小さな個体はできるだけ優しくリリースしてあげましょう。
そうすることで、来年以降も私たちを楽しませてくれるはずです。

