冬の鍋料理の代表格といえば、アンコウ鍋です。
グロテスクな見た目からは想像できないほど、繊細で奥深い味わいを持つこの魚。
実は「骨以外は全て食べられる」と言われており、その各部位を総称して「アンコウの七つ道具」と呼びます。
部位ごとに食感も味も全く違うため、これを知っているとアンコウ鍋が何倍も楽しくなります。
今回は、食通を唸らせるアンコウの7つの部位について、詳しく解説していきます。
見出し1:そもそも「アンコウの七つ道具」とは?
アンコウは体が大きく、表面がヌルヌルしており、さらに身が柔らかいため、まな板の上では捌きにくい魚です。
そのため、フックに吊るして回転させながら解体する「吊るし切り」という独特の手法が用いられます。
この解体によって分けられる7つの可食部が「七つ道具」です。
それぞれの部位には名称があり、役割も食感も異なります。
見出し2:これが「七つ道具」の全貌!部位別解説
それでは、7つの部位を一つずつ見ていきましょう。
1. 肝(キモ/アンキモ)
アンコウの代名詞であり、最も価値が高い部位です。 「海のフォアグラ」とも呼ばれ、濃厚な脂とコクが特徴です。
鍋にする際は、まず肝を鍋で煎って溶かし、味噌と合わせてスープのベース(どぶ汁)にすることで、他にはない濃厚な旨味が生まれます。
蒸してポン酢で食べる「あん肝ポン酢」も絶品です。
2. 皮(カワ)
アンコウの体全体を覆っている黒っぽい皮です。
見た目は少し驚きますが、実はコラーゲンの塊です。
加熱するとプルプルとしたゼラチン質になり、口の中でとろけるような食感が楽しめます。
女性に嬉しい美容食材としても人気があり、代表的な部位の一つです。
3. 水袋(ミズブクロ/胃)
アンコウの胃袋のことです。
アンコウは大きな獲物を丸呑みするため、胃袋が非常に大きく発達しています。
ホルモンのような弾力があり、噛めば噛むほど味が出るのが特徴です。
形状が袋状であることから、この名で呼ばれています。
4. ぬの(卵巣)
メスの卵巣の部分です。 薄く平べったい形状が「布」のように見えることから「ぬの」と呼ばれます。
火を通すと少しモソモソとした独特の食感になり、味のアクセントになります。
煮込むと出汁を吸って美味しくなる部位です。
5. えら(エラ)
魚のエラは通常捨ててしまうことが多いですが、アンコウのエラは食べられます。
食感は軟骨のようにコリコリとしており、噛みごたえがあります。
鮮度が命の部位ですが、クセになる食感で通好みのパーツです。
6. とも(ヒレ・尾ヒレ)
尾ヒレや胸ヒレの付け根の部分です。 よく動かす部位であるため、筋肉質で弾力があります。
皮に近いゼラチン質と、身の繊維質のあわさった食感が楽しめます。
「友(とも)」という名前の由来は諸説ありますが、ヒレを指す言葉として定着しています。
7. 柳肉(ヤナギニク/身)
いわゆる「白身」の部分です。 頬肉や胴体の肉を指し、真っ白で美しいことから「柳」と呼ばれます。
水分が多く、加熱するとフワフワとした非常に柔らかい食感になります。 淡白で上品な味わいは、濃厚な肝のスープと相性抜群です。
見出し3:アンコウを美味しく食べるポイント
アンコウの魅力は、これら7つの異なる食感(プルプル、コリコリ、フワフワ)を一度に楽しめることにあります。
特に鍋料理にする際は、煮えにくい「水袋(胃)」や「とも(ヒレ)」から先に入れ、火の通りやすい「柳肉(身)」や「肝」は後から入れるのがコツです。
部位ごとの火の通り具合を見極めることで、最高の状態で味わうことができます。
まとめ
アンコウの七つ道具、すべて覚えられましたでしょうか。
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肝(コクと旨味)
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皮(コラーゲン)
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水袋(弾力ある胃袋)
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ぬの(独特な卵巣)
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えら(食感のアクセント)
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とも(ヒレの付け根)
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柳肉(上品な白身)
これらが混然一体となったアンコウ鍋は、まさに冬の芸術品です。
次にアンコウを食べる際は、今どの部位を食べているのか意識してみてください。
きっと今まで以上に、その奥深い味わいに感動するはずです。

