はじめに:可愛いけれど、実は「命がけ」の行動
釣りをしていると頻繁に出会うゲスト、フグ(クサフグやキタマクラなど)。
釣り上げると「プーッ」と音を立てながらボールのように真ん丸く膨らみます。
その姿は愛嬌があり、ついつい突っつきたくなりますが、実はあれ、
フグにとっては**「死ぬか生きるかの緊急事態」**なのです。
今回は、フグがなぜ膨らむのか、体の中で一体何が起きているのか、その不思議な生態を徹底解説します。
1. なぜ膨らむの?最大の理由は「防御」と「威嚇」
フグが膨らむ理由は、単純に**「食べられないようにするため」**です。
自然界における生存戦略の一つです。
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体を大きく見せる(威嚇): 相手(捕食者)に対し、「自分はこんなに大きいんだぞ」とアピールし、襲うのを諦めさせようとします。
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飲み込めないようにする(物理的防御): もし噛みつかれても、体を急激に大きくすることで、敵の口に入らないようにしたり、喉に詰まらせて吐き出させたりします。
また、ハリセンボンのように体に棘(トゲ)がある種類は、膨らむことで棘を立たせ、
「痛いぞ!」と武器を突きつける役割も果たしています。
2. どうやって膨らんでいる?驚きの体の「仕組み」
人間が息を大きく吸っても、あそこまで体は変わりません。
フグには膨らむための特殊な体の構造があります。
① 「膨張のう」という専用の袋がある
フグの胃には**「膨張のう」**と呼ばれる非常に伸縮性の高い袋があります。
食道とこの袋には強力な筋肉(括約筋)があり、飲み込んだ水や空気が逆流して漏れないよう、弁のような働きをします。
② 実は「肋骨(ろっこつ)」がない
ここが最大のポイントです。 普通の魚や人間には内臓を守るための「肋骨」がありますが、フグには肋骨がありません(あるいは退化しています)。
骨という硬い枠組みがないため、風船のように限界まで皮膚を引き伸ばして大きくなることができるのです。
③ ポンプのように吸い込む
フグは「えら蓋」と口を巧みに使い、ポンプのような動作で大量の物質を胃(膨張のう)へ送り込みます。
その量はなんと、自分の体重の2倍~4倍にもなると言われています。
3. 吸っているのは「水」?それとも「空気」?
状況によって異なりますが、本来の生息環境では**「水」**を吸い込んでいます。
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海中(自然界): 周りの海水を大量に飲み込んで膨らみます。水は重いので、膨らんだ状態のフグは動きが鈍くなります。
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陸上(釣り上げられた時): 水がないため、代わりに必死に**「空気」**を飲み込みます。
【釣り人への豆知識】
空気で膨らんだフグがお腹を上にして水面にプカプカ浮いてしまうのは、吸い込んだ空気が
浮き袋の役割をしてしまい、バランスが取れなくなっているからです。
4. 釣り人へのお願い:膨らんだフグはやさしくリリースを
プクプクに膨らんだフグは可愛いですが、実は魚体には相当な負担がかかっています。
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窒息のリスク: 陸上で空気を吸いすぎると、うまく吐き出せずに水に戻れず、そのまま弱ってしまうことがあります。
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体力の消耗: 膨らむという行為は筋肉をフル稼働させるため、激しく体力を消耗します。
また、膨らんだ状態のフグを無理やり押したり、踏んだりするのは絶対にやめましょう。
内臓破裂の原因になります。
そして何より注意すべきは、**フグの強力な「歯」**です。 彼らは貝殻さえ噛み砕く顎を持っています。
膨らんだお腹を触っている最中に指を噛みちぎられる事故も多発しています。
まとめ
フグが膨らむのは、厳しい自然界を生き抜くための、進化の過程で手に入れた「必殺技」でした。
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理由は「食べられないための防御」
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胃の一部(膨張のう)に水や空気を溜めている
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肋骨がないから大きく膨らめる
次に釣り場で膨らんだフグに出会ったら、「必死に戦っているんだな」と温かい目で見守り、
鋭い歯に気をつけて、優しく海へ帰してあげてください。

