最初に。
寒グレといえば、冬に旬を迎え、白子が入った個体が多いことで知られています。
ところが近年、南紀地方では「寒グレは釣れるが、白子が入っていない」
という声が明らかに増えています。
これは偶然ではありません。明確な環境変化が背景にあります。
結論から言うと、原因は一つではありません。
・海水温の上昇。
・産卵時期のズレ。
・個体の若年化。
・産卵回数の分散。
これらが複合的に重なった結果です。
本来の寒グレと白子の関係。
本来、南紀のグレ(メジナ)は、
・水温15〜17℃。
・12月〜2月。
この条件で、生殖腺(白子・卵)を大きく発達させます。
寒さで代謝が落ち、エネルギーを「脂」と「生殖」に回すため、
・身は締まり。
・脂が乗り。
・白子が大きくなる。
これが、昔ながらの「寒グレ=白子」の正体でした。
① 海水温の上昇が最大の要因。
南紀の冬の海水温は、確実に上がっています。
昔・冬場に14〜15℃まで下がっていた海。
現在・16〜18℃で推移する年が増加。
この違いは、グレにとって非常に大きい。
水温が下がり切らないと、
・産卵スイッチが入りにくい。
・白子の成熟が遅れる。
・完全に成熟する前に行動が変わる。
結果
「寒グレなのに白子が未発達」という個体が増えます。
② 産卵時期が分散している。
以前の南紀では、・1〜2月に産卵が集中。
今は、・11月後半〜3月までバラける。
つまり、同じ時期に釣れるグレでも、
・すでに産卵後。
・これから産卵。
・まだ未成熟。
この3パターンが混在しています。
白子が「少なく感じる」のではなく、揃わなくなったのが実態です。
③ 個体の若年化。
近年の釣果を見ると、・30〜35cm級が中心。・40cm超の割合が減少。
若い個体ほど、
・白子が小さい。・成熟が遅い。
資源量が減り、大型個体が少なくなるほど、
「寒グレ=白子」という印象は薄れます。
④ 回遊パターンの変化。
水温が高い冬は、
・深場へ落ちきらない。
・居着きやすい。
結果として、・完全成熟前に釣られる。
これも、白子が少なく感じる理由です。
まとめ。
寒グレに白子が減った理由。
・冬の水温が下がり切らない。
・産卵時期が分散している。
・若い個体が増えている。
・成熟前に釣られている。
この4点が重なっています。
それでも寒グレの価値は下がらない。
白子が少なくても、
・身の締まり。
・脂の質。
・旨味の濃さ。
これは、水温15〜17℃帯で確実に向上します。
白子は「ご褒美の一部」であって、寒グレの本質ではありません。
釣り人が知っておくべきこと。
白子が入っていない=外れ。ではありません。
むしろ、
・水温。
・時期。
・サイズ。
これを理解していれば、寒グレは今でも最高の冬魚です。

