1.供給量がそもそも少ない。
・キビナゴは主産地が九州南部(長崎・鹿児島など)に偏っており、地域限定の小規模資源になりやすい。
・資源評価資料では、長崎・鹿児島それぞれの海域で年ごとに数百〜千数百トン規模の推移が示され、地域内での増減も大きい。
・一方でマイワシは全国規模で漁獲され、近年は太平洋系群だけでも年20万トン級に達する年がある。
これらの供給ギャップが、単価のベースを押し上げる。
わが国周辺の水産資源の評価+2わが国周辺の水産資源の評価+2
2.漁法と操業の性質上、コストがかかりやすい。
・キビナゴは刺網主体で、集魚灯を用いた夜間〜未明操業が一般的。
・「午前3時出港(夏は2時)→集魚灯→刺網→選別・冷却→夜明けまで繰り返し」という手順で、人手と時間がかかる。
・熊本(天草)や漁協資料でも、禁漁期の設定や操業条件が明示され、効率化しにくい前提がある。
こうした手間と時間、燃油・人件費が、1尾あたりのコストを引き上げる。
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3.用途価値(とくに“刺身価値”)が高い。
・キビナゴは鮮度勝負の“地魚”として刺身や天ぷらで重宝され、良質原料は生食向けに選別されて高値が付きやすい。
・鹿児島では酢味噌で食べる独特の食文化があり、見た目の演出(菊花造り)などで外食・観光需要も見込める。
・加工用に大量に回るマイワシと違い、「鮮魚で丁寧に扱う少量高付加価値」の色合いが強い。
用途の違いが、同じニシン目でも単価差を生みやすい。
〖公式〗鹿児島県観光/旅行サイト かごしまへの旅
4.需要の地域性とブランド化。
・“地元で食べるほど旨い”タイプの魚で、鹿児島・甑島・天草などに根づいた需要が強い。
・流通が広域化しにくい一方、地元内ではブランド化し、鮮魚枠の取り合いになりやすい。
結果として、供給が限られる中での地元需要が価格を底上げする。
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5.イワシ側には「代替の豊富さ」と「スケールメリット」がある。
・マイワシは国内での漁獲スケールが大きく、加工・缶詰・干物など代替的な販路が豊富。
・全国での大量流通により、在庫緩衝や加工吸収が効き、相場が相対的に落ち着きやすい。
・実際、市場統計や市況グラフでも、マイワシの平均卸価格は概ね“数百円/kg”帯で推移してきた実績が見られる。
供給量と販路の太さが、単価を抑える方向に働く。
農林水産省 農業・農村の重要情報+1
まとめ
・キビナゴは「地域限定の小規模資源」かつ「夜間刺網+集魚灯など人手・時間のかかる操業」+「鮮魚・刺身向けの高付加価値」+「地元需要の強さ」という要因が重なり、単価が上がりやすい。
・マイワシは「全国規模の大量供給」+「加工含む多様な販路」+「在庫・流通のスケール」が効き、相対的に安くなりやすい。
・したがって、市場で“イワシよりキビナゴの方が高い”状況は、構造的に起きやすい。
ただし年・産地・魚体・鮮度・流通先で価格は変動するため、相場は時々の漁況に左右されることも押さえておくと精度が上がる。

