フグ料理といえば「てっさ(刺身)」「てっちり(鍋)」という呼び方が定着していますが、
これらは全国共通ではなく、主に関西地方で使われる独特な言い回しです。
一見するとフグの名前がまったく入っていないこの呼称、実は歴史的背景と洒落の効いた隠語から
生まれたものなのです。
🔍「てっさ」「てっちり」の語源は“鉄砲”
✅ フグ=鉄砲という隠語
江戸時代以前、フグは猛毒を持つ魚として知られており、食べると“当たる”=死ぬ可能性がある
ことから、鉄砲に例えられ「鉄砲」と呼ばれていました。
「鉄砲に当たると死ぬ」→「フグに当たると死ぬ」 この洒落が庶民の間で広まり、
フグを食べることが禁じられていた時代の隠語として使われるようになったのです。
🍽てっさとは?|鉄砲の刺身=てっさ
「てっさ」は、フグの刺身を意味する関西の呼び方です。 語源は「鉄砲(てっ)」+「刺身(さ)」=「てっさ」。
つまり「鉄砲の刺身」という意味で、フグ刺しを隠語で表現したものです。
特徴
- 透けるほど薄く切ることで、フグ特有の弾力を食べやすく。
- ポン酢で食べるのが一般的。
- 皿に花のように盛り付けることで、見た目も芸術的。
🍲てっちりとは?|鉄砲のちり鍋=てっちり
「てっちり」は、フグを使った鍋料理の関西での呼び方です。
語源は「鉄砲(てっ)」+「ちり鍋(ちり)」=「てっちり」。
「ちり鍋」とは、白身魚を煮ると“ちりちり”と縮む様子から名付けられた鍋料理のこと。
つまり「鉄砲のちり鍋」=「てっちり」となったのです。
特徴
- 昆布だしで煮ることで、フグの淡泊な旨味を引き立てる。
- ポン酢+薬味(もみじおろし・ネギ)で食べるのが定番。
- 締めは雑炊で、フグの出汁を余すことなく味わえる。
🏯歴史背景|フグ食禁止令と隠語文化
✅ 豊臣秀吉による禁止令
安土桃山時代、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に下関に集まった兵士たちがフグを食べて中毒死。 これをきっかけに、フグ食禁止令が発令されました。 江戸時代にもこの禁止令は引き継がれ、武士階級ではフグを食べることが禁じられていたのです。
✅ 庶民の知恵と洒落
禁止されても、フグの美味しさは庶民の間で絶大な人気。 そこで、公言できないフグ食を“鉄砲”という隠語で呼び、密かに楽しんでいたのです。 この隠語文化が関西で定着し、「てっさ」「てっちり」という呼び方が生まれました。
📍地域差と現代の定着
- 関西地方(大阪・京都・和歌山など)では「てっさ」「てっちり」が一般的。
- 関東や九州では「ふぐ刺し」「ふぐ鍋」「ふく刺し」などの呼び方が主流。
- 現代では、料亭や専門店でのメニュー名として定着し、全国的にも認知が広がっています。


