釣り人なら誰でも一度は経験する、あの悲しい瞬間。
そっと海面を覗き込んだ瞬間、足元にいた魚たちが蜘蛛の子を散らすようにパーッと逃げていく。
「えっ、今、完全に目が合ったよな?」なんて思うかもしれないが、あながち間違ってないんだな、これが。
今回は、なぜ覗き込んだだけで魚が逃げるのか、ヤツらの驚異的な「視覚」について語っていくぞ。
魚からは水上の人間が丸見え!?「スネルの窓」の秘密
結論から言うと、魚からは水上にある景色がしっかり見えている。
それも、俺たちが想像する以上に広範囲にな。
これを説明するのに欠かせないのが「スネルの窓」と呼ばれる現象だ。
光は空気中から水中に入る時に屈折する。
この屈折のおかげで、魚の真上には水上から差し込む光が円形に集まる「窓」のようなものができるんだ。
この窓を通して、魚は水上にある景色をギュッと圧縮した状態で見上げている。
つまり、防波堤からひょっこり顔を出した人間の姿なんて、ヤツらからすれば「巨大なバケモノが空から覗き込んでいる!」と丸見えの状態ってわけだ。
そもそも魚の視野は人間よりはるかに広い
真上が見えるだけじゃない。
魚の目は顔の横についていることが多いよな。
あれのおかげで、ほとんどの魚はほぼ360度に近い視野を持っているんだ。
人間の視野はせいぜい前方200度くらいだから、いかに魚の警戒心が高いかわかるだろう。
背後や真下のほんの一部以外は、全部見えていると思っていい。
だから、足音を忍ばせてそーっと近づいたつもりでも、水面に影が落ちたり、少しでも動いたりすれば一発でアウトだ。
視覚だけじゃない!音や振動のダブル警戒システム
覗き込んで逃げられた時、実は「見られた」ことだけが原因じゃないかもしれない。
人間が歩く振動は、コンクリートの防波堤から水中にしっかり伝わっている。
魚には「側線」という、水圧や振動を感じ取るセンサーが体の側面についているんだ。
視覚で「怪しい影」を捉え、側線で「ドスドス」という足音の振動を感じ取る。
この強固なダブルの警戒システムが働いているからこそ、覗き込んだ瞬間に猛ダッシュで逃げていくんだな。
釣果を上げるための鉄則!
じゃあ、どうやってこの賢いヤツらを出し抜くのか。
答えは簡単、「魚から見えない位置に立つ」ことだ。
水辺に立つ時は、いきなり際(きわ)まで行かずに、少し手前から仕掛けを落とすのが基本中の基本。
自分の影を水面に落とさないように、太陽の位置を意識して立ち位置を変えるのも大事だな。
ちょっとした立ち振る舞いの工夫だけで、今まで逃がしていた魚が嘘みたいに釣れるようになるかもしれないぞ。
相手は過酷な自然を生き抜く野生のプロだから、こっちも本気で騙し合いを楽しもうぜ。

