アオリイカの身が固いのは水分が少ないからではなく、水分を「抱え込みすぎている」から。

多くの釣り人や料理人が「アオリイカは身が固くて水分が少ない」と勘違いしやすいですが、
これは大きな誤解。
実際のデータを見ると、アオリイカ(および近縁のイカ類)の水分含有量は生で約78〜80%前後と
されていて、一般的な魚(マダイ・アジ・ブリなど)の平均70〜75%よりも5〜10%程度多い傾向にあります。
日本食品標準成分表(八訂増補2023年)では、イカ類(例:アカイカ生)の水分が79.3g/100g、
スルメイカ類似で80%前後と記載されており、アオリイカも同等の範囲。
魚類の代表値(マダイ生:約74〜75%、アジ生:約73〜76%)と比較しても、イカの方が明らかに水分を多く保持しています。
なぜ「固い=水分少ない」と勘違いされやすいのか?アオリイカの身の構造に秘密があります。

  • 筋繊維が極めて緻密で太く、絡み合っている(魚の筋肉より複雑で強靭)。
  • この繊維が水分をしっかり「抱え込み」、外に逃がしにくい構造。
  • 結果、噛んだ瞬間に「コリコリ・プリプリ」と固く締まった食感を与えるが、内部には**大量の水分(体液+海水由来)**がパンパンに詰まっている。

例えるなら、**「高反発マットレスみたいに弾力があるけど、中は水で満たされたスポンジ」**状態。

だからこそ:

  • 鮮度が良いうちは「固くて締まってる=水分少ない」と錯覚。
  • でも管理をミスると、細胞が壊れて**ドリップ(水分離れ)**が一気に発生 → 刺身が「水っぽい」「味が薄い」になる。

これがアオリイカ刺身の最大の落とし穴。

「固いから水分少ない」ではなく、**「固い=水分を逃がさない構造だからこそ、水っぽくなりやすい」**んです。
水っぽさを防いで最高の甘み・コシを引き出す管理術(実践ポイント)

  1. 釣り上げ即締めが命
    目と目の間or胴の付け根を素早く神経締め+血抜き。ストレスで体液が乱れるのを防ぎ、水分保持を安定させる。
  2. 真水厳禁!海水or塩水で最小限洗い
    イカの皮膚は浸透圧に敏感。真水に浸けるとスポンジみたいに余計な水分を吸収 → 水っぽさ倍増。ぬめり取りは海水で軽く、じゃぶじゃぶNG。最後はキッチンペーパーでしっかり拭き取る。
  3. 温度管理の徹底(0〜5℃厳守)
    釣り場からクーラーへ即氷or保冷剤で急速冷却 → 持ち帰り後は冷蔵庫(0〜4℃)。温度変化で細胞破壊 → ドリップ爆発。
  4. 熟成は短め・低温で
    1〜2日(最大3日)以内の冷蔵熟成がベスト。長すぎると酵素分解が進みすぎて水分が抜けやすくなり、水っぽさが増す。
  5. 解凍時は超ゆっくり
    冷凍した場合は冷蔵庫内で半解凍 → 流水は最小限。急解凍はドリップの元凶。

アオリイカは**「水分をたくさん抱えているからこそ、管理次第で魚以上にジューシーで甘みが爆発」**するイカの王様。

この真実を知って、正しい管理で最高の一杯を味わってください。
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