楽しい釣りの後、家に帰ってクーラーボックスを開けたら、もわっとした生臭さを感じたことはありませんか?
「アジは家に帰ったらもう臭い」 「サバは生き腐れって言うほど足が早い」
「イワシは釣ったらすぐ食べないとダメ」
釣り人の間では常識のように語られるこれらの言葉。
「青物はそういうものだから仕方ない」と諦めていませんか?
実は、その臭みや身質の低下は、魚のせいではなく、**「持ち帰り方(冷やし方)」に
原因があるかもしれません。
青物の鮮度を保ち、釣りたての極上の味を食卓に届けるための最強のソリューション、
それが「海水氷(かいすいごおり)」**です。
なぜ、ただの氷ではダメで、海水氷が圧倒的に有利なのか。その理由を解説します。
なぜ青物(アジ・サバ・イワシ)はすぐに傷むのか?
そもそも、なぜ青物は他の魚に比べて「足が早い(傷みやすい)」のでしょうか。 主な理由は3つあります。
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酵素の働きが活発(自己消化): 常に泳ぎ回る回遊魚である青物は、代謝が活発で体内に強力な消化酵素を多く持っています。死後はこの酵素が自分自身の身を分解し始めます(自己消化)。これが身がグズグズになる原因です。
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細菌が繁殖しやすい: 青物の身は水分が多く柔らかいため、細菌が侵入・繁殖しやすい環境にあります。特に内臓やエラから腐敗が進行します。
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脂分が多い: 美味しい脂(不飽和脂肪酸)は、空気に触れると酸化しやすく、独特の臭みの原因となります。
これらの進行を食い止める唯一の方法が、**「一刻も早く、芯まで冷やすこと」**なのです。
氷だけじゃ不十分?「海水氷」が圧倒的に有利な3つの理由
多くの人がやりがちなのが、クーラーボックスに「氷だけ(バラ氷や板氷)」を入れて、その上に魚を置く方法です。
これでは、魚の体の一部しか氷に触れておらず(点接触)、冷却ムラができてしまいます。
冷えていない部分からどんどん傷んでいくのです。
これに対し、「海水氷」(たっぷりの氷に海水を注ぎ、シャーベット状にしたもの)は、以下の点で圧倒的に有利です。
1. 冷却スピードが段違い(熱伝導率)
空気は熱を伝えにくいですが、水は熱をよく伝えます。
海水氷という「液体」の中に魚をドブ漬けすることで、冷たい海水が魚の体表全体を包み込みます(面接触)。
これにより、魚体の熱を急速に奪い、一気に体の芯まで冷やすことができます。
このスピード感が、酵素の働きを止めるカギとなります。
2. 温度が「氷点下」になる(凝固点降下)
これが最大のメリットです。
真水は0℃で凍りますが、塩分を含んだ海水は0℃では凍りません。
氷と海水を混ぜると、氷が溶けようとする時に周囲の熱を奪うため、水温はぐんぐん下がります。
条件が良いと**マイナス1℃~マイナス2℃**という、真水では不可能な「氷点下の液体」が完成します。
このキンキンの状態で保存することで、鮮度は劇的に保たれます。
3. 身が水っぽくならない(浸透圧)
もし、真水の氷水に魚を長時間漬けておくとどうなるでしょうか。
魚の体液よりも真水の塩分濃度が低いため、「浸透圧」の働きで魚の体内に水分が入り込んでしまいます。
結果、身が白っぽくブヨブヨになり、旨味も逃げてしまいます。
体液に近い塩分濃度を持つ「海水」を使った海水氷なら、身の締まりをキープしたまま、プリプリの状態を保てるのです。
まとめ:海水氷をマスターして「釣りたての味」を食卓へ
「臭い」「足が早い」と言われる青物ですが、適切な処理をすれば、これほど美味しい魚はありません。
プロの漁師や市場関係者も、青物の鮮度管理には必ずといっていいほど「海水氷(潮氷)」を使用します。
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クーラーボックスにたっぷりの氷を入れる(砕氷がベスト)。
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魚がひたひたに浸かる程度の綺麗な海水を注ぐ。
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よくかき混ぜて、キンキンのシャーベット状にする。
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釣れた魚をすぐに投入し、しっかり浸かっているか確認する。
このひと手間を加えるだけで、家に持ち帰った時の魚の輝き、捌いた時の身の弾力、
そして口に入れた時の臭みのなさに感動するはずです。
ぜひ次回の釣行から、最強の冷却法「海水氷」を実践してみてください。

