「魚は釣ってすぐに氷水に入れれば新鮮」だと思っていませんか。
実は、それだけでは魚のポテンシャルを100%引き出したとは言えません。
釣り人の特権である「究極の美味」を味わうために必要な工程、それが「活締め(いけじめ)」です。
今回は、活締めとは具体的に魚の体に対して何を行っているのか。
そして、なぜそれが必要なのかを、科学的な視点を交えて解説します。
1. 活締めとは「即死」させること
活締めを一言で言うと、「人為的に魚を即死させる処理」のことです。
魚が自然に死ぬのを待つ(野締め)のではなく、生きているうちに急所を破壊して、生命活動を強制的に終わらせます。
残酷に聞こえるかもしれませんが、これが魚にとって最も苦しみが少なく、
かつ身の品質を保つ方法なのです。
具体的に行っていることは以下の2点です。
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脳の破壊: 脳天にピックなどを刺し、脳の機能を停止させる。
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神経の破壊: 背骨の中を通る神経をワイヤーなどで壊す(神経締め)。
2. なぜ「即死」が必要なのか?(目的と理由)
わざわざ手間をかけて締めるのには、明確な3つの目的があります。
目的①:エネルギー(ATP)の浪費を防ぐ
これが最も科学的で重要な理由です。
魚の筋肉には「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質が含まれています。
このATPは、魚が暴れたり、苦しんで窒息したりすると急激に消費されてしまいます。
実はこのATPこそが、死後に分解されて「イノシン酸」という『旨味成分』に変わる元なのです。
つまり、「魚が暴れる=旨味の元が減る」ということです。
即死させることで、暴れる時間をゼロにし、ATPを体内に満タンに残すことができます。
目的②:死後硬直を遅らせる
魚は死んだ後、時間が経つとカチコチに固まる「死後硬直」が始まります。
硬直が始まると身の透明感が失われ、食感も悪くなり始めます。
活締めをして神経を破壊すると、脳から筋肉への「縮め」という指令が断たれます。
その結果、死後硬直が始まるまでの時間を大幅に遅らせることができます。
これは、長時間鮮度を保ったまま持ち帰れることを意味します。
目的③:内出血と体温上昇を防ぐ
魚が網やバケツの中で暴れると、あちこちに体をぶつけて身割れや内出血(打ち身)を起こします。
また、激しい運動によって魚の体温が上昇し、身が「焼け」たような状態になり、味が落ちます。
即座に動きを止めることは、身を物理的なダメージから守ることにも繋がります。
3. 「血抜き」との関係
よく「活締め=血抜き」と混同されますが、厳密にはセットで行う別の作業です。
活締め(脳破壊)をして心臓が動いているうちに、エラなどの動脈を切ります。
すると、ポンプの作用で血が体外へ排出されます。
血液は腐敗が早く、雑菌の温床となり、生臭さの最大の原因です。
「脳を締めて動きを止め、心臓のポンプで血を抜く」という連携プレーが、臭みのない刺身を作るのです。
4. 具体的な手順(何をしているか)
現場で行う標準的な活締めの流れは以下の通りです。
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脳締め: 目の後ろや眉間などにある脳の位置へピックを刺す。
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(成功すると、ヒレがピンと張り、魚の色が変わります)
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動脈切断: エラ膜を切断し、血の出口を作る。
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放血: 海水を入れたバケツに頭から突っ込み、血を出し切る。
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冷却: 氷焼けしないよう、袋に入れたり新聞紙で包んだりして、氷の効いたクーラーボックスへ。
※さらにこだわりたい方は、脳締めの後に「神経締め(ワイヤーを通す)」を行います。
まとめ:活締めは「旨味の貯金」
活締めとは、単なる処理ではなく「旨味成分を減らさないための防衛策」です。
釣り場で行う数分の作業が、数時間後、数日後の食卓での感動に変わります。
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暴れさせない(エネルギー保存)
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血を残さない(臭み防止)
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冷やしすぎない(適切な冷却)
この3つを意識するだけで、プロが扱うような高級魚の味に近づきます。
ぜひ次回の釣行から実践してみてください。
道具選びや締め方のコツが分からない場合は、釣太郎のスタッフまでお気軽にお声がけください。

