はじめに:似ているけれど「別物」です
一般的に「ワタリガニ」として一括りにされがちですが、市場関係者やベテラン釣り師は、
この2つを明確に区別しています。
**「ガザミ」はワタリガニの代表格であり、「タイワンガザミ」**はその近縁種です。
どちらも絶品ですが、特徴を知っておくと、買う時や釣った時の楽しみが倍増します。
1. 【見分け方】決定打は「おでこのトゲ」の数
最も確実で、科学的にも使われる見分け方は、目と目の間(額)にある**「トゲ(額歯)の数」**です。
- ガザミ:トゲが「3つ」甲羅の前の真ん中に、鋭いトゲが3本あります。
- タイワンガザミ:トゲが「4つ」同じ場所に、トゲが4本並んでいます。
★覚え方:
**「3文字のガザミは3本、4文字のタイワンは4本」**と覚えると忘れません!
(※タイワンガザミは「タイワン」の4文字でカウント)
2. 【見た目】オスは一目瞭然!「青」か「暗緑色」か
トゲを見なくても、オスの成体なら色で瞬時に判別可能です。
- タイワンガザミ(オス):鮮やかな「コバルトブルー」通称「アオデ」「アオガニ」と呼ばれる通り、脚や甲羅が美しい青色で、白い斑点模様があります。非常に派手です。
- ガザミ(オス):落ち着いた「暗緑色・暗紫色」全体的に緑褐色や紫色っぽく、白い横縞模様が脚に入ります。
※注意点(メスの場合):
メスは両種とも地味な緑褐色をしており、非常に似ています。メスを見分ける時こそ、先ほどの「トゲの数(3か4か)」が重要になります。
3. 【食味】濃厚な「ガザミ」vs 甘みの「タイワン」
どちらも甲乙つけがたい美味しさですが、味のベクトルが少し異なります。
ガザミ(本ガザミ)
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特徴: 「ワタリガニの王様」。カニ味噌や内子の濃厚さが際立ちます。
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味: 旨味が非常に強く、パンチがあります。
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おすすめ料理: 味噌汁、塩茹で、蒸しガニ。濃厚な出汁が出るので、汁物にすると最強です。
タイワンガザミ
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特徴: 身の繊維が繊細で、加熱すると鮮やかな赤色に変わります。
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味: ガザミに比べて「甘み」が強く、身の味が上品です。カニ味噌はガザミよりあっさりしています。
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おすすめ料理: 蒸しガニ、カニすき、パスタ。身の甘さを楽しむ料理に向いています。
4. 【価格】高級なのはどっち?
地域や時期によりますが、一般的な相場としては以下の通りです。
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ガザミ > タイワンガザミ
基本的に**「ガザミ」の方が高値**で取引されます。
これは「本ワタリガニ」としてのブランド力と、カニ味噌・内子の濃厚さが日本人好みであるためです。特に冬場の内子を持ったメスのガザミは、一杯数千円~一万円クラスになる高級食材です。
一方、タイワンガザミは比較的リーズナブルです。
しかし、味はガザミに劣らないため、「安くて美味いコスパ最強のカニ」として、知る人ぞ知る人気ターゲットとなっています。
5. 生態と生息域の違い
- ガザミ:内湾の穏やかな泥底や砂泥底を好みます。河口付近の汽水域にも入ってきます。生命力が強く、干潮時に砂に潜っていることもあります。
- タイワンガザミ:ガザミよりも少し沖合の、きれいな砂底を好む傾向があります。「タイワン」と付きますが、外来種ではなく日本古来の在来種です(南方に多いことから名付けられました)。
まとめ:比較一覧表
最後に違いをまとめます。
| 特徴 | ガザミ(Portunus trituberculatus) | タイワンガザミ(Portunus pelagicus) |
| おでこのトゲ | 3つ | 4つ |
| オスの色 | 暗緑色・紫褐色 | 鮮やかな青色(白斑点あり) |
| メスの色 | 暗緑色 | 暗緑色(オスより地味) |
| 味の特徴 | 濃厚な旨味・コク | 強い甘み・上品 |
| 価格 | 高い(高級品) | やや安い(コスパ良し) |
| 別名 | 本ガザミ、ワタリガニ | アオデ、アオガニ、ヒラツメガニ |
結論:
コクのある味噌や内子を楽しみたいなら**「ガザミ」。
身の甘さをリーズナブルに楽しみたいなら「タイワンガザミ」**。
スーパーや魚屋さんで「ワタリガニ」を見かけたら、ぜひおでこのトゲを見て、
「これはどっちかな?」と鑑定してみてください。

