9月になると、「また台風ができた」「今度は日本に来るかも」というニュースが一気に増えます。
実は9月は、単純に台風が発生しやすいだけではありません。
日本付近へ台風が進みやすい気圧配置になることが、9月に台風の影響を受けやすい大きな理由です。
気象庁の平年値では、台風の発生数は8月が約5.5個、9月が約5.1個と、8月と9月が年間でも特に多い時期です。
さらに日本への接近数は8月が約3.4個、9月が約2.6個と、秋口まで非常に多い状態が続きます。
9月に台風が多い最大の理由
9月は、
「海はまだ真夏なのに、上空の気圧配置は秋へ変わり始める」
という特殊な季節です。
この組み合わせが、台風の発生と日本への接近を増やします。
理由① 海水温がまだ非常に高い
9月になると気温は少しずつ下がり始めます。
しかし、海は陸地ほど急には冷えません。
夏の強い日差しで温められたフィリピン東方や日本南方の海では、9月になっても高い海面水温が残っています。
台風は暖かい海から供給される大量の水蒸気をエネルギーにして発達します。
つまり、
9月の海はまだ「台風を育てるだけの熱」を十分に持っている
ということです。
場合によっては、日本のすぐ南まで高水温域が広がり、北上してきた台風が勢力を維持しやすくなります。
理由② 太平洋高気圧が弱まり始める
真夏の7月から8月は、日本付近を太平洋高気圧が大きく覆います。
太平洋高気圧が非常に強い場合、台風はその外側を回るように進むため、日本から離れたコースを通ることもあります。
しかし9月になると、太平洋高気圧は少しずつ弱まり、南へ後退し始めます。
すると台風が進める「通り道」が日本付近にできやすくなります。
ここが非常に重要です。
9月は台風が多いというより、日本へ向かいやすくなる季節でもあるのです。
理由③ 偏西風が南下してくる
秋が近づくと、日本の北側を流れている偏西風が次第に南下してきます。
台風が日本付近まで北上すると、この偏西風に乗ることがあります。
すると進路を東寄りに変えながら、日本列島付近を通過するケースが増えます。
よく見る、
南から北上してきた台風が、日本付近で急に右へ曲がる進路
は、この影響を大きく受けています。
9月は「台風+秋雨前線」にも注意
9月の危険性は台風だけではありません。
この時期は秋雨前線が日本付近に停滞することがあります。
そこへ台風から大量の暖かく湿った空気が流れ込むと、台風本体がまだ遠くにあっても大雨になることがあります。
南紀でも、
「台風はまだ沖縄付近なのに大雨」
「中心はかなり離れているのに海が大荒れ」
ということがあります。
これは珍しい現象ではありません。
台風本体だけを見るのではなく、
秋雨前線の位置と湿った南風の流れ
を見ることが重要です。
「9月が一番台風が発生する」は正確ではない
ここは少し注意が必要です。
「9月は台風が一番多い」と言われることがありますが、気象庁の平年値では発生数そのものは8月が約5.5個、9月が約5.1個です。
つまり、
台風の発生ピークは8月から9月にかけて。
9月だけが突出して多いわけではありません。
それでも9月に台風シーズンという印象が強いのは、日本列島に影響する進路を取りやすくなるためです。
9月の台風が強いまま接近することもある
9月の日本周辺では海水温がまだ高いため、台風が北上しても急激に弱まらないケースがあります。
さらに近年は、日本近海まで高い海面水温が広がる年もあります。
そのため、
「日本へ近づけば弱くなるだろう」
とは考えない方が安全です。
特に南紀は太平洋に直接面しているため、台風の中心がかなり離れていても南からのうねりが先に到達します。
南紀の釣りでは台風の何日前から注意する?
釣りでは、台風が接近する当日だけを警戒するのでは遅い場合があります。
遠く離れた台風から発生した長周期のうねりは、台風本体より先に沿岸へ到達します。
特に磯では、
前日は穏やかだったのに突然大きなセット波が入る
ということがあります。
9月以降は天気予報だけではなく、
波高
波周期
うねりの向き
台風の進路
秋雨前線の位置
まで確認することが重要です。
まとめ
9月に台風の影響が多くなる理由は、主に3つあります。
海水温がまだ高く、台風が発生・発達しやすい。
太平洋高気圧が弱まり、日本方向への通り道ができる。
偏西風が南下し、日本付近へ台風を運びやすくなる。
つまり9月は、
「海は夏、空は秋」という季節の境目。
この絶妙な組み合わせによって、日本は台風の影響を受けやすくなります。
南紀では台風が遠くにあっても、うねりが先行して入ることがあります。
晴れているから大丈夫と判断せず、9月以降の海釣りでは台風情報と波情報をセットで確認しましょう。


