港の隅っこや、釣った直後のバケツの中で、魚がお腹を上にしてプカプカ浮いていること、ありますよね。
「あれ、死んでるのかな?」と思ってツンツンすると、ビチビチッと泳ぎ出す。
かと思えば、本当に動かなくなっている魚もいる。
見た目は同じ「お腹を上の状態」ですが、実は体内にある「空気の正体」は全くの別物だということをご存知でしょうか。
今回は、この「浮く理由」の違いと、絶対に間違えてはいけない「食べる時の判断基準」についてお話しします。
1. 生きて浮いている魚(物理的な膨張)
釣り上げたばかりの根魚(ガシラやハタ)や、深場から上げたタイなどがこれに当たります。
彼らのお腹がパンパンで浮いてしまうのは、急激に水圧が変わったことで、浮き袋の中の空気が風船のように膨らんでしまったからです。
これは、いわゆる「潜水病」のような状態。 中に入っているのは、魚が浮力調整のために持っている「普通の空気(酸素や窒素)」です。
なので、この状態の魚は、まだ生きていますし、適切に処置(エア抜き)をしてあげれば元気に泳ぎ出します。
もちろん、すぐに締めて持ち帰れば、刺身で美味しく食べられます。
この「空気」は、鮮度には何の影響もありません。
2. 死んで浮いている魚(化学的な腐敗)
一方で、死んでから時間が経って浮いてきた魚。 これも見た目は同じようにお腹を上にしていますが、中身は別物です。
このお腹を膨らませている気体の正体は、ズバリ「腐敗ガス」です。
内臓の中に残ったエサや、内臓そのものがバクテリアによって分解され、メタンガスやアンモニアなどのガスが発生しています。
人間で言うところの、悪いガスが溜まっている状態ですね。 このガスは、浮き袋の空気とは違い、強烈な悪臭を放ちます。
そして、このガスが発生しているということは、身の方にも腐敗菌が回っている証拠です。
「食べられる」と「危険」の境界線
では、海にプカプカ浮いている魚を見つけた時、どうやって見分ければいいのでしょうか。
一番の判断基準は「目」と「エラ」です。 【食べられる可能性アリ(エア膨張)】
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目が澄んでいる。
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エラが鮮やかな赤色をしている。
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触ると反応がある、または死後硬直していても身に弾力がある。
【絶対に食べてはダメ(腐敗ガス)】
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目が白く濁っている、または落ち窪んでいる。
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エラが白っぽい、またはドス黒く変色している。
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お腹周りがブヨブヨしていて、異臭がする。
まとめ:浮いている理由を知れば怖くない
「お腹に空気が入っている」という見た目は同じでも、片方は「浮力調整の故障」、もう片方は「腐敗のサイン」です。
釣った魚が浮いてしまった場合は、エア抜き針で空気を抜いてあげれば活かすことができますし、すぐに冷やせば美味しくいただけます。
しかし、最初から海面に漂っていたり、クーラーボックスの中でぬるくなって浮いてしまった魚は、迷わず処分してください。
「もったいない」と思って食べると、本当にお腹を壊します。

