ブリの尾鰭は、専門用語で**「成体における三日月型(ルナ型)」**に近い形状をしています。
この形には、大海原を回遊するハンターとしての進化が詰まっています。
1. 圧倒的な推進力を生み出す「揚力」
ブリの尾鰭は、単に水を後ろに押し出す「うちわ」ではありません。
左右に振ることで、飛行機の翼と同じ原理である**「揚力」**を発生させます。
上下に長く、中央が深く切れ込んでいることで、水の抵抗を最小限に抑えつつ、効率よく前進する力を得ているのです。
2. 長距離回遊に特化した「低燃費」設計
ブリは「回遊魚」であり、止まることなく泳ぎ続けます。
この三日月型は、少ないエネルギーで高速巡航を維持するのに最適な形です。
水の渦(ドラッグ)が発生しにくいため、長距離を移動しても疲れにくいという特徴があります。
尾鰭から読み解くブリの生態
瞬間的なダッシュ力
尾鰭の付け根(尾柄部)が非常に細く、筋肉が凝縮されているのが分かります。
これは、獲物を見つけた瞬間に爆発的なパワーを尾鰭に伝えるための構造です。
時速40km〜50kmとも言われるスピードで突進し、小魚を追い詰めます。
泳ぎの安定性と方向転換
大きく上下に分かれた尾鰭は、水中で舵(かじ)の役割も果たします。
複雑な潮の流れの中でも、姿勢を崩さずに泳ぎ続けることができるのは、この強靭な尾鰭があるからです。
釣り人が知っておきたい「尾鰭のサイン」
ブリの尾鰭がピンと張っており、黄色いラインが鮮やかな個体は、非常に筋肉質でコンディションが良い証拠です。
南紀の荒波を突き進んできたブリは、引きの強さも別格。
この尾鰭の形を思い浮かべながらやり取りをすると、彼らのパワーの源をより深く実感できるはずです。
自然が生み出した最高のデザイン。 次にブリを釣り上げた際は、ぜひその尾鰭をじっくりと観察してみてください。
そこには、過酷な海を生き抜くための「勝利の形」が刻まれています。

