「マグロといえば、本マグロ(クロマグロ)が一番偉い」
そう思い込んでいませんか?
確かに、値段も知名度もクロマグロがナンバーワンです。
しかし、カウンターの寿司屋に通うような食通や、昔気質の市場関係者に聞くと、意外な答えが返ってくることがあります。
「俺はクロより、断然ミナミ(インド)派だね」
なぜ、王様であるクロマグロを差し置いて、ミナミマグロが選ばれるのか。
そこには、単なる「ランク」を超えた、決定的な「味の個性」の違いがあるからです。
今回は、マグロ界のツートップ、クロマグロとミナミマグロを徹底比較します。
1. 北の絶対王者「クロマグロ(本マグロ)」
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キャッチコピー:海の黒いダイヤ
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主な漁場:日本近海、大西洋(北半球)
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味の特徴:「渋み」と「酸味」の芸術品
クロマグロの最大の特徴は、その高貴な香りと「酸味」にあります。
特に赤身を食べた時、口の中に広がる微かな鉄分の香りと、爽やかな酸味。
これが、脂の甘みを引き立てるのです。
大トロであっても、決して脂っこいだけでは終わりません。
脂のパンチがありながら、後味にフッと抜けるようなキレがある。
「王道にして、完璧なバランス」
それがクロマグロです。
2. 南の情熱的な女王「ミナミマグロ(インドマグロ)」
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キャッチコピー:南の赤い宝石
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主な漁場:ケープタウン沖、オーストラリア沖(南半球)
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味の特徴:濃厚な「甘み」と「ねっとり感」
対して、ミナミマグロは南半球の冷たい海を回遊しています。
このマグロの持ち味は、圧倒的な「甘み」です。
クロマグロのような酸味は少なく、その分、脂の甘さがダイレクトに舌に絡みつきます。
食感も特徴的で、クロマグロが「サクッ」とした歯切れの良さがあるのに対し、ミナミマグロは「ねっとり」と濃厚。
まるで熟成されたチーズやクリームのように、口の中でとろけながら残る余韻。
この濃い味わいが、酢飯(シャリ)との相性が抜群に良いのです。
3. なぜ「通はミナミ」と言うのか?
寿司通がミナミマグロを好む理由は、まさにその「個性の強さ」にあります。
クロマグロは、誰が食べても美味しい優等生。
上品で洗練されています。
一方、ミナミマグロは、野生味あふれる濃厚な旨味の塊。
「マグロ食ったぞ!」という満足感が一番強いのは、実はミナミマグロだという意見が多いのです。
特に、脂の乗ったハラモ(大トロ)の部分は、クロマグロよりも筋が柔らかく、とろける食感が強いため、ミナミを最高とする職人も少なくありません。
4. 見た目で見分ける方法
スーパーや魚屋で並んでいる時、どう見分ければ良いのでしょうか。
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クロマグロ:鮮やかな赤色。時間が経っても色が変わりにくい。
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ミナミマグロ:少し黒みがかった、濃い赤色。脂のサシが細かく入る。
ミナミマグロの赤身は、色が濃く、少し暗く見えることがあります。
しかし、これは鮮度が悪いのではありません。
「赤いダイヤ」と呼ばれるほど、旨味が凝縮されている証拠なのです。
まとめ:その日の気分で使い分けよう
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上品な香り、キレのある脂を楽しみたいなら → 「クロマグロ(本マグロ)」 が正解。
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濃厚な甘み、ねっとりした食感に溺れたいなら → 「ミナミマグロ(インドマグロ)」 が正解。
どちらが上か下かではありません。
「王様」と「女王」、それぞれの個性を楽しむのが、本当の贅沢です。
釣太郎では、南紀の地魚はもちろん、市場から仕入れた極上のマグロブロックも(タイミングが良ければ)ご案内できるかもしれません。

