釣った直後に現場で測ったサイズと、帰宅してから測ったサイズが違う。
「あれ?もっと大きかったはずなのに……」と不思議に思ったことはありませんか?
実はこれ、気のせいでも計測ミスでもありません。
魚は死後、科学的な理由で確実に「物理的に縮む」のです。
今回は、なぜ釣った魚が縮んでしまうのか、そのメカニズムを解説します。
釣り人なら知っておきたい、魚の体の不思議に迫ります。
主な原因1:死後硬直による筋肉の収縮
魚が縮む最大の原因は「死後硬直」です。 魚が死ぬと、体内のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の供給が止まります。
すると、筋肉を構成しているタンパク質(アクチンとミオシン)が結合したまま離れなくなります。
この現象により、筋肉全体がギュッと収縮して固まります。
生きている時は柔軟だった関節や椎骨(背骨)の間隔が、筋肉の収縮によって強力に詰められます。
その結果、魚の全長が物理的に短くなってしまうのです。
特に青物やマダイなど、筋肉量が多い魚ほどこの傾向は顕著になります。
死後硬直がピークに達すると、体長によっては数センチ単位で縮むことも珍しくありません。
主な原因2:水分蒸発による乾燥
もう一つの要因は、体内の水分が抜けることによる「乾燥」です。
魚の体の大部分は水分でできています。
クーラーボックスに入れている間や、持ち帰る間に、魚の体表やえらから水分が蒸発します。
また、血抜きや締め処理を行うことで、体液も排出されます。
水分が抜ければ、当然その分だけ体積は減少し、組織全体がわずかに萎縮します。
干物が小さくなるのと同じ原理が、生の魚でも(ごく僅かですが)起きているのです。
長時間空気に触れた状態で放置すると、皮が乾燥して縮み、さらにサイズダウンして見える原因になります。
実際どれくらい縮むのか?
魚の種類や大きさ、保存状態にもよりますが、一般的には以下の変化が目安です。
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小型魚(アジ・キスなど): 数ミリ~5ミリ程度
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中型〜大型魚(シーバス・青物・マダイ): 1センチ〜2センチ、場合によっては3センチ以上
特に「死後硬直」が始まってから解けるまでの間が、最も縮んでいる状態です。
熟成が進んで硬直が解けると、筋肉が緩んで多少戻ることもありますが、完全に元のサイズに戻ることはありません。
正確なサイズを残すための対策
「釣った魚の記録(レコード)を正確に残したい!」 そう思うなら、対策はひとつしかありません。
**「釣り上げた直後、生きているうちにメジャーを当てて写真を撮る」**ことです。
クーラーボックスに入れて氷締めにした時点で、筋肉の収縮プロセスは始まります。
帰宅後の計測は「縮んだ後のサイズ」であり、釣った瞬間の感動とは少し誤差が生じてしまいます。
デジタル魚拓を作る際も、現場での撮影データが最も正確な証明になります。
まとめ
釣った魚が縮むのは、筋肉の収縮(死後硬直)と水分の減少による自然な現象です。
決してあなたの目が悪かったわけでも、計測ミスをしたわけでもありません。
魚が新鮮である証拠とも言えます。 しかし、1センチの差が悔しいのが釣り人の性(さが)。
幻のランカーサイズを逃さないためにも、計測と撮影は現場で素早く済ませましょう。

