「アジが一番美味しいのは冬(寒アジ)でしょ?」
「やっぱり尺アジ(30cm超え)じゃないと脂が乗っていないよね」
釣り人の間ではそう言われがちですが、ここ南紀エリアに関しては、その常識は半分正解で、半分間違いです。
実は、真夏でも、あるいは20cm程度の中型サイズでも、食べた瞬間に衝撃を受けるほど美味しいアジが存在します。
今回は、南紀のアジがなぜ評価されるのか、その「旬」と「個体差」の秘密に迫ります。
1. 「冬だけ」ではない!季節ごとの美味しさの違い
確かに、冬(12月〜2月頃)の「寒アジ」は、水温低下に備えて体に脂肪を蓄えるため、
脂の乗りは最高潮に達します。刺身にした時に醤油が弾くほどの脂は、冬ならではの特権です。
しかし、春〜初夏(産卵期前後)のアジも見逃せません。
南紀の豊かな海で育ったアジは、産卵後の回復(荒食い)が早く、初夏にはすでに身がパンパンに張っていることが多いのです。
また、夏場の豆アジ(小アジ)は骨が柔らかく、丸ごと唐揚げや南蛮漬けにすることで、
冬の大型にはない「香ばしさ」と「身の甘み」を楽しめます。
つまり、「脂の冬」に対し、「旨味と食感の夏・秋」と言えるでしょう。
2. 「大きい=美味しい」とは限らない理由
「デカければデカいほど美味い」 これは釣り人のロマンですが、食味に関しては注意が必要です。
外洋を回遊して入ってきたばかりの大型アジ(いわゆる「黒アジ」)は、運動量が多いため身が引き
締まっていますが、脂の乗りは控えめであっさりしていることがあります。
一方で、20cm〜25cm程度の中型サイズであっても、南紀の入り組んだ湾内に定着しているアジは、
豊富なプランクトンを食べて運動量が少ないため、全身トロのような脂をまとっています。
「35cmのスマートなアジ」より、「23cmのメタボなアジ」の方が、食べて感動することは珍しくありません。
3. 南紀のアジが美味い本当の理由「金アジ」の存在
南紀のアジがブランド魚並みに美味しいと言われる最大の理由。
それは**「居付き(いつき)アジ」、通称「金アジ(黄アジ)」**の比率が高いことです。
黒アジ(回遊型)
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特徴:体が細長く、背中が黒っぽい。尾びれも黒ずんでいる。
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味:さっぱりしており、身が硬め。
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行動:沖合を群れで泳ぎ回る。
金アジ(居付き型)
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特徴:体高があり(幅広)、背中から全体が**黄金色(黄色)**を帯びている。
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味:脂乗りが抜群で、身がふっくらと柔らかい。
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行動:エサが豊富な岩礁帯や湾内に定着する。
南紀の複雑なリアス式海岸や磯場は、この「金アジ」が育つのに最適な環境です。
堤防から釣れるアジの中に、やけに黄色くて丸々とした個体が混じっていたら、それが「当たり」です。
この金アジなら、サイズや季節を問わず、極上の食味が約束されています。
まとめ:色と体型で見極めよう
南紀のアジが美味しいと言われるのは、黒潮の恵みだけでなく、この「金アジ」に出会える確率が高いからです。
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冬だけでなく、夏のアジもそれぞれの旨さがある
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大きさよりも「体高(太さ)」と「黄色み」を見る
もし釣れたアジが金色に輝いていたら、小さくてもリリースせずに持ち帰って食べてみてください。
「アジってこんなに美味しかったの!?」と、きっと驚くはずです。

