南紀の冬といえば寒グレ。
特に
北西風が吹き
水温が下がり
海が澄みきった時期。
磯では
「口太か」
「尾長か」
この会話が当たり前のように交わされます。
しかし実際には
見た目での区別
引きの違い
釣れる場所の違い
は語られても、
なぜそうなるのか
生態として何が違うのか
ここまで理解している人は
意外と多くありません。
この記事では
口太グレと尾長グレを
「釣り方」ではなく
魚そのものの生き方から掘り下げます。
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そもそもグレとは何者か
グレとは
スズキ目メジナ科に属する魚の総称です。
日本でフカセ釣りの対象になるのは
主に次の2種。
口太グレ
= メジナ
尾長グレ
= クロメジナ
同じ「グレ」でも
生態は別の魚と言っていいほど違います。
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口太グレ(メジナ)の生態を深掘りする
口太グレは
沿岸性が非常に強い魚です。
生息域
・水深5〜20m前後
・地磯や波止にも寄る
・ワンド
・潮裏
・沈み根周辺
人の生活圏と
非常に近い場所で生きています。
行動特性
口太は
警戒心が強い反面
環境変化への適応力が高い。
・濁りに強い
・潮が緩くても居着く
・撒き餌への反応が早い
これは
「回遊魚」ではなく
定住型の魚だからです。
同じ磯に
同じ個体が
何年も居着くことも珍しくありません。
食性
・海藻
・付着藻類
・小甲殻類
・オキアミ
完全な雑食性です。
そのため
撒き餌の組み立て次第で
寄せることができます。
冬の口太(寒グレ)
水温が下がると
口太は深場へ落ちます。
しかし
完全に消えるわけではなく
・日中
・太陽が当たる時間帯
・潮が動く瞬間
こうした条件が揃うと
一気に浮いてきます。
これが
寒グレが成立する理由です。
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尾長グレ(クロメジナ)の生態を深掘りする
尾長グレは
口太とは真逆の生き方をします。
生息域
・外洋に面した磯
・水深20〜40m
・本流が当たる場所
・足元から深い地形
完全な
外洋性回遊魚です。
行動特性
尾長は
常に潮を追いかけます。
・潮が止まると消える
・本流が入ると一気に出る
・撒き餌より潮を読む魚
そのため
「今日は居る」「今日は居ない」
が極端です。
食性
・動物性プランクトン
・流下する小型生物
・オキアミ
ほぼ肉食寄りです。
付着藻類は
ほとんど食べません。
冬の尾長
冬でも
尾長は回遊を続けます。
ただし
水温が下がるほど
大型個体が主体になります。
これが
寒尾長が異様に引く理由です。
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見た目の違いは生態の結果
口太と尾長の違いは
見た目にも表れます。
口太
・体高がある
・口が厚い
・尾ビレが短い
= 定住型で急加速が不要
尾長
・体高が低い
・口が鋭い
・尾ビレが長い
= 回遊型で高速遊泳が必要
形は
嘘をつきません。
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引きの違いの正体
よく言われる表現。
「口太は叩く」
「尾長は走る」
これは
筋肉の質が違うからです。
口太
・瞬発力型
・短距離ダッシュ
尾長
・持久力型
・止まらない走り
フカセ釣りで
ハリスが飛ばされる理由も
ここにあります。
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フカセ釣り入門者がまず狙うべきはどっちか
結論は
口太グレです。
理由は明確。
・居着き
・再現性が高い
・撒き餌でコントロールできる
・波止や地磯でも成立
尾長は
中級者以上の魚です。
潮
風
地形
これを読めないと
そもそも勝負になりません。
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南紀で口太と尾長が混ざる理由
南紀は
黒潮の影響を強く受けます。
そのため
・口太の定住個体
・尾長の回遊個体
が
同じ磯に入ることがあります。
「今日はどっちも釣れる」
という日が生まれるのは
この海域特性によるものです。
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まとめ
口太グレと尾長グレは
同じグレでも
生き方がまったく違います。
口太は
沿岸に根を張る定住型。
尾長は
潮を追い続ける回遊型。
この違いを理解すると
・釣れない理由
・急に釣れ出す理由
・ラインブレイクの正体
すべてが
一本の線で繋がります。
寒グレ釣りは
運ではありません。
魚の生態を理解した人間が勝つ釣り
それがフカセ釣りです。

