脂の乗った「寒ブリ」です。
刺身やお寿司、そして「ブリしゃぶ」として食べるのが一般的ですが、よく考えると不思議なことがあります。
クエやタラ、アンコウは「鍋(ちり鍋)」にしてグツグツ煮込むのに、なぜブリは「煮込む鍋」と
してはあまり食べられないのでしょうか。
実は、そこにはブリという魚が持つ「決定的な弱点」と、それを補う「しゃぶしゃぶの凄さ」が関係しています。
今回は、ブリを普通の鍋に入れてはいけない理由と、一番美味しく食べるための秘訣を解説します。
理由1:スープが「酸っぱく」なる(酸味と鉄分)
最大の理由は、ブリが回遊魚(青物)であり、筋肉中に大量の「血合い」と「酸味成分」を含んでいるからです。
白身魚(クエやタイ)は長時間煮込んでも上品な出汁が出ますが、ブリを煮込むと、
血合いに含まれる鉄分や乳酸などがスープに溶け出します。
その結果、鍋全体のスープがなんとなく酸っぱくなり、生臭い鉄の味が移ってしまうのです。
繊細な昆布だしの味を、ブリの強いクセが壊してしまう、これが「ブリ鍋」が敬遠される最大の理由です。
理由2:身が「キュッ」と締まりすぎる(食感)
ブリの身は、加熱すると筋肉繊維が強く収縮する性質があります。
「ブリ大根」や「照り焼き」を想像すると分かりやすいですが、しっかり火を通したブリは、身が締まって硬くなります。
鍋の中で長時間煮てしまうと、フワフワ感はなくなり、まるで「シーチキンの塊」のように
パサパサとした食感になってしまいます。
口の中でほろりと崩れる鍋の醍醐味が、ブリでは味わいにくいのです。
理由3:脂が強すぎて「クドい」
「寒ブリ」と呼ばれる時期のブリは、全身が脂の塊です。
これを鍋に入れて煮続けると、溶け出した脂でスープがギトギトになり、他の具材(野菜や豆腐)
まで脂まみれになってしまいます。
最初は美味しいと感じても、すぐに食べ飽きてしまう「クドさ」が出てしまうのです。
なぜ「しゃぶしゃぶ」ならOKなのか?
では、なぜ「ブリしゃぶ」はあれほど美味しいのでしょうか。
それは、しゃぶしゃぶという調理法が、ブリの弱点をすべて克服しているからです。
1. 臭みを落とす
お湯にくぐらせることで、表面の酸化した脂や生臭さだけを湯の中に落とすことができます。
2. 脂を適度に残す
中心まで火を通さない「レア」な状態で食べるため、脂が溶け出しすぎず、ジューシーな甘みだけを楽しめます。
3. 食感を守る
数秒の加熱なら身が硬くならず、とろけるような柔らかさをキープできます。
つまり、ブリにとって「しゃぶしゃぶ」は、単なる食べ方の一つではなく、理にかなった
「唯一無二の調理法」なのです。
どうしても煮込みたいなら「味を濃くする」
もしブリを煮て食べたい場合は、水炊きのような薄味ではなく、生姜や醤油、酒をたっぷり
使った「濃い味付け」にするのが正解です。
「ブリ大根」や「アラ炊き」が美味しいのは、濃い調味料と生姜の効果で、ブリ特有の酸味や
臭みをマスキングしているからです。
まとめ
ブリは「煮る」のではなく、「サッと湯に通す」のが正解です。
鍋の主役にするなら、野菜をたっぷり入れた鍋に、薄切りのブリを数秒泳がせる「しゃぶしゃぶ」で楽しみましょう。
それが、寒ブリの命である「脂の甘み」を最大限に引き出す方法です。
釣太郎では、しゃぶしゃぶに最適な脂の乗った寒ブリや、専用のつけダレに合う薬味もご紹介しています。
今夜は家族みんなで、絶品のブリしゃぶを囲んでみてはいかがでしょうか。

