【料理の科学】魚は煮詰めると「アク」が強くなるのはナゼ?魚料理が劇的に変わる「煮込み」の限界点

「肉は煮込めば煮込むほど柔らかく美味しくなる」と言われます。

しかし、魚料理において「煮込みすぎ」は厳禁であることをご存知でしょうか。

せっかくの高級魚や新鮮な釣果も、長時間グツグツ煮続けると、独特の「エグみ」や「生臭さ」が出てきてしまいます。

今回は、なぜ魚は煮詰めると味が落ちてしまうのか、その科学的な理由と、

美味しく仕上げるための「煮込みの境界線」について解説します。


理由1:脂の「酸化」が早まるから

魚の脂(DHAやEPAなど)は、牛や豚の脂に比べて融点が低く、非常にデリケートです。

長時間加熱し続けると、脂が酸素と反応して急激に「酸化」が進みます。

酸化した脂は、「過酸化脂質」という物質に変わり、これが独特の古臭いニオイや、

喉に引っかかるような不快なエグみの正体となります。

煮込めば煮込むほど、この酸化臭がスープ全体に回り、魚本来の繊細な旨味を消してしまうのです。


理由2:「アク(血液成分)」が戻ってしまうから

煮ている最中に浮いてくる泡のような「アク」。

この正体は、魚の身や骨に残っていた血液や、変性したタンパク質です。

沸騰したお湯の中で長時間踊らせていると、一度出たアクが細かく砕かれ、再び煮汁の中に

溶け込んでしまいます。

これを「アクが回る」と言います。

こうなると、スープ全体が濁り、鉄分のような生臭さと渋みが料理全体を支配してしまいます。

特に、血合いの多い青物(カツオ、ブリ、サバなど)は、短時間で勝負を決めないと、

この現象が顕著に現れます。


理由3:身が「パサパサ」になる構造の違い

肉のコラーゲンは長時間煮込むとゼラチン化してトロトロになりますが、魚の身(筋肉繊維)は

構造が違います。

魚の筋肉を繋いでいる結合組織は非常に弱く、加熱するとすぐにゼラチン化して溶け出します。

必要な水分や旨味も一緒に流れ出てしまうため、長時間煮ると繊維だけが残り、食感は

「パサパサ」、味は「出がらし」のようになってしまうのです。

「味が染みる」のと「味が抜ける」のは紙一重です。


美味しく仕上げるための「3つの鉄則」

魚の煮付けや鍋を最高に美味しくするには、以下の3点を意識してください。

1. 煮る時間は「10分〜15分」が目安

魚の大きさにもよりますが、火が通ればそれ以上煮込む必要はありません。

味が染みていないと感じる場合は、「煮る」のではなく、火を止めて「冷ます」工程で味を含ませてください。

2. 強火で一気に、落とし蓋を使う

短時間で仕上げるために、強火で煮汁を対流させます。

落とし蓋をすることで、少ない煮汁でも全体に熱と味が回り、酸化する時間を最小限に抑えられます。

3. 「霜降り」は絶対にサボらない

煮る前に熱湯をかけ、冷水でぬめりと血合いを洗う「霜降り」。

これをやるだけで、長時間煮なくても臭みが出ず、澄んだ旨味だけの煮汁になります。


まとめ

魚料理における「煮詰めすぎ」は、酸化とアクの戻りを招くNG行為です。

「魚は短時間で、余熱で味を含ませる」

これを覚えるだけで、家庭の魚料理が料亭の味に近づきます。

新鮮な魚ほど、サッと煮るだけで十分な旨味が出ます。

釣太郎では、この連休も休まず営業しております。

新鮮な魚を釣るための準備は、ぜひ当店にお任せください。

魚料理における「煮詰めすぎ」は、酸化とアクの戻りを招くNG行為。「魚は短時間で、余熱で味を含ませる」釣太郎

 

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