イカ墨パスタは定番なのに、なぜタコ墨料理はないの?
この記事ではイカ墨とタコ墨の違いを「味」「成分・栄養」「粘度」から徹底比較。
タコ墨が食用にされない驚きの理由も分かります。
濃厚なコクと旨味が魅力の「イカ墨パスタ」。
レストランのメニューやレトルト食品でもおなじみで、多くの方が一度は食べたことがあるのではないでしょうか。
しかし、ここでひとつの疑問が浮かびます。
「イカが墨を吐くなら、タコも墨を吐くはず。
なのに、なぜタコ墨パスタって聞かないんだろう?」
見た目はそっくりなイカとタコですが、実はその「墨」には大きな違いがありました。
今回は、イカ墨とタコ墨の違いを様々な角度から比較し、タコ墨がなぜ食用として普及していないのか、その謎に迫ります。
そもそも「墨」の役割とは?
イカもタコも、墨は主に外敵から身を守るために使います。
敵に襲われた際に墨を吐き出し、相手の視界を遮る「煙幕」のような役割を果たしているのです。
しかし、この基本的な役割は同じでも、その中身の成分や性質は大きく異なります。
【比較①】味と旨味成分の違い
料理で最も重要になるのが「味」です。
両者の墨の味は、含まれる成分によって決定的な違いが生まれます。
- イカ墨 イカ墨には、グルタミン酸やアスパラギン酸といったアミノ酸(旨味成分)が非常に豊富に含まれています。これが、イカ墨特有の濃厚なコクと深い旨味を生み出しています。料理に加えることで、味に奥行きと広がりを与えてくれる、いわば「天然の旨味調味料」なのです。
- タコ墨 一方、タコ墨に含まれるアミノ酸の量は、イカ墨の10分の1以下とも言われています。そのため、味は非常に薄く、イカ墨のようなコクや旨味はほとんど感じられません。人によっては、やや生臭いと感じることもあるようです。
【比較②】粘度と使いやすさの違い
料理のソースなどを作る際には、その粘度(ねばり気)も重要です。
- イカ墨 イカ墨はタンパク質や多糖類を多く含むため、粘度が高くトロリとしています。この粘り気がパスタやリゾットのソースによく絡み、料理に一体感をもたらします。
- タコ墨 タコ墨は水分が多く、粘度が低くサラサラしています。そのため、ソースとして食材に絡めにくく、色が薄く広がりやすいという特徴があります。料理の色付けに使おうとしても、水っぽくなってしまうのです。
【結論】タコ墨が料理で使われない3つの理由
ここまでの違いを踏まえると、タコ墨が食用として普及していない理由が見えてきます。
- 旨味成分が少なく、美味しくないから 最大の理由は、料理の味を向上させる「旨味」がほとんどないことです。料理はやはり味が第一。タコ墨は調味料としての魅力に欠けるのです。
- 量が少なく、取り出しにくいから イカの墨袋(墨汁嚢)は比較的大きく、まとまった量の墨を簡単に取り出せます。しかし、タコの墨袋は非常に小さく、さらに肝臓の中に埋もれているため、傷つけずに取り出すのが非常に困難です。商業ベースで流通させるには、手間とコストがかかりすぎるのです。
- 水っぽく、料理に使いにくいから 前述の通り、粘度が低くサラサラしているため、ソースなどの調理には不向きです。食材に絡まず、料理全体が水っぽくなってしまうため、使い勝手が良くありません。
イカ墨とタコ墨の違いまとめ
【まとめ】
イカ墨とタコ墨は、同じ「墨」でも、成分や性質が全くの別物です。
イカ墨が「旨味豊富な天然の調味料」として料理の世界で愛されているのに対し、タコ墨は味や量の問題から、食用には向いていないというのが結論です。
イカ墨パスタを食べる機会があれば、その濃厚な旨味の裏にある、タコ墨との大きな違いに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


