マアジの「美味しさ」と「旬」の違いについて
マアジ(Trachurus japonicus)は、冬に脂がのって美味しくなるにもかかわらず、「旬」は春から夏とされることが多いです。
この違いは、「魚の生理的な旬」と「食味としての旬」のズレによるものです。
1. 「美味しさ」と「旬」は別物?
「旬」= 産卵前後で漁獲量が多くなる時期
「美味しさ」= 脂ののりが良い時期
魚の「旬」は基本的に、
- 市場に多く出回る時期
- 漁獲しやすい時期(群れを作る・産卵期前後)
- 漁業関係者の経験的な伝承
によって決まることが多いですが、「美味しさのピーク」とは必ずしも一致しません。
2. マアジの「旬」は春〜夏なのに、冬が美味しい理由
① 旬(春〜夏)= 産卵前後で漁獲量が増える
- マアジの産卵期は地域によって異なるが、一般的には5月〜8月ごろ。
- 春から夏にかけて沿岸に接岸し、漁獲量が増えるため「旬」とされる。
- この時期はマアジの群れが活発に動くため、漁業者が最も多く獲れる時期でもある。
② 冬が美味しい= 産卵に備えて脂がのる
- マアジは産卵前に体力をつけるために、秋から冬にかけてエサを多く食べる。
- その結果、脂肪を蓄えた個体が増え、食味が向上する。
- 特に「関アジ」や「黄金アジ」といったブランドアジは、冬場の脂ののりが評価されることが多い。
3. マアジの季節ごとの特徴
| 季節 | 体の状態 | 味の特徴 | 市場での評価 |
|---|---|---|---|
| 春 | 産卵前で群れを作る | やや脂が落ちるが適度な食感 | 旬として市場流通が増える |
| 夏 | 産卵期(やや痩せる) | 身がやや水っぽくなる | 漁獲量は多いが味はやや落ちる |
| 秋 | 産卵後で回復期 | 身が締まり、脂が徐々にのる | 美味しさが増してくる |
| 冬 | 産卵準備で脂を蓄える | 最も脂がのって美味 | 漁獲量は減るが高評価 |
4. まとめ
- マアジの「旬」は春〜夏だが、これは漁獲量が増えるから。
- 最も美味しいのは冬で、産卵前に脂がのる時期。
- 「市場の旬」と「食味の旬」はズレることがある。
- 冬のマアジは脂がのり刺身や塩焼きに最適だが、春〜夏のものも身が締まって美味しい。
つまり、「旬」と「美味しさ」は必ずしも一致しないということですね!

