海水氷が販売されているところが少なく、真水の氷が定番である理由は、以下のような要因が影響しています。
1. 製造・保管の技術的な問題
- 機器の腐食問題
海水は塩分を含むため、製氷機や保管設備が塩分によって腐食しやすいという課題があります。真水に比べて設備のメンテナンスや耐久性の問題が生じやすく、結果として製造コストが上昇します。 - 製造プロセスの複雑さ
海水を凍らせる際には塩分濃度を適切に調整する必要があります。濃すぎると塩害を引き起こし、薄すぎると真水氷との効果の差が薄れるため、品質管理が難しくなります。
2. 需要の限定性
- ターゲット層が限定的
海水氷は主に漁業者や釣り人など、魚の冷却・保存を必要とする特定の層に向けた商品です。そのため、一般消費者向けの需要が少なく、市場全体ではビジネスとしての規模が限定されます。 - 日常利用には不向き
一般家庭や飲食店では、海水氷よりも真水氷のほうが多目的に使いやすいです。飲み物を冷やしたり食品を保存したりする際、海水氷は塩味が付いてしまうため用途が限られることが理由です。
3. コストと物流の制約
- 生産コストが高い
海水を凍らせるには、通常の真水の製氷に比べて冷却温度をさらに低く設定する必要があるため、エネルギーコストが増加します。また、専用の製造設備や保管設備が必要なため、初期投資も高額になります。 - 物流の問題
海水氷は塩分を含むため、溶けた際に塩水となります。このため、輸送時に特殊な防水仕様の容器やパッケージングが必要となり、物流コストが増加します。これが広域販売を難しくしています。
4. 法規制や衛生面の課題
- 海水の衛生問題
海水は真水に比べて不純物や雑菌を含むリスクが高いため、食品用の氷として販売する際には、原料となる海水の水質検査や殺菌処理が必要です。この手間とコストが販売を難しくしています。 - 規制や認可の壁
地域によっては海水を食品用に利用する場合に特別な許可が必要となる場合があり、これが販売のハードルになることもあります。
5. 真水氷の定番化による競争力の低下
- 真水氷の市場支配
真水氷はすでに市場に広く普及しており、製造・流通コストが低く、供給網も整備されています。このため、海水氷が新たに参入しても価格面や流通面で競争力を発揮しにくい状況です。 - 消費者の慣習
真水氷が「当たり前」として受け入れられているため、消費者が海水氷を必要と感じにくいという側面もあります。新しい商品が定着するには時間と啓蒙活動が必要ですが、それにかかるコストが事業者にとって負担となることも。
6. 自然条件に依存
- 海水が必要
海水氷の製造には当然ながら海水が必要なため、内陸部や海水が汚染されている地域では製造が難しいです。この地理的な制約が、真水氷ほど広く販売されない理由の一つです。
結論
海水氷が真水氷より普及していない理由は、製造・保管コストの高さ、需要の限定性、物流や法規制の課題、真水氷の市場支配力などの複合的な要因によるものです。
一般消費者向けというよりも、特定の用途やニーズに応じたニッチな商品であるため、真水氷に取って代わることは難しいといえます。
ただし、漁業や釣りなど特定の分野では、今後も海水氷が活用される可能性があります。
海水氷は魚冷却専用。1キロと3キロあります。


