アオリイカ釣りのエサとして、もっとも身近で強力な活アジ。
しかし、網ですくう際やバケツに移す際、パラパラと剥がれ落ちるウロコを「ただの汚れ」だと思っていませんか。
実は、その数パーセントのウロコの喪失が、アジの体力と生存時間に劇的な影響を与えています。
今回は、アジの防御要塞である「ウロコ」の重要性を数値で分析します。
1. 網ですくった瞬間に失われる「3%〜5%」の防壁
アジを目の細かい網で一度すくうだけで、健康な個体でも**約3%〜5%**のウロコが脱落すると言われています。
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物理的ダメージ: 網の目との摩擦や、アジ同士が重なり合う圧力で、側面や腹部のウロコが容易に剥がれます。
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粘膜の喪失: ウロコが剥がれる際、魚体を守る「ヌル(粘膜)」も同時に失われます。
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ストレス反応: ウロコの脱落はアジにとって「外傷」であり、心拍数の上昇とエネルギー消費の加速を招きます。
2. 生存の境界線:何%剥がれたら「エサ」として失格か?
アジの生命維持において、ウロコ剥離の割合と弱り方の相関関係は以下の通りです。
| ウロコ剥離率 | アジの状態 | 釣果への影響 |
| 5%以下 | 良好 | 通常通り泳ぎ、イカを誘うことが可能。 |
| 10%前後 | 要注意 | 代謝が乱れ始め、潜る力が弱くなる。 |
| 20%以上 | 致命的 | 海水の浸透圧調整ができなくなり、数分〜数十分で動かなくなる。 |
「10%の法則」:
体表の約1割のウロコを失うと、そこから体液が流出し、逆に海水が体内に侵入しやすくなります。
これを防ぐためにアジは膨大なエネルギーを消費するため、イカが抱きつく前に「息切れ」を起こしてしまいます。
3. ヤエン・ウキ釣りで「元気なアジ」を維持する鉄則
アジのウロコを1枚でも多く残すことが、アオリイカを仕留める近道です。
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網は使わず「手」も触れない: 可能な限り水ごと掬える「水汲みバケツ」での移動や、ウロコが傷つきにくいソフトな素材の網を選んでください。
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素手で触るのは厳禁: 人間の体温(約36度)は、水温15度前後のアジにとっては「火傷」に等しいダメージです。
触れる際は必ず手を海水で十分に冷やしてから、優しく包むように扱います。
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過密を避ける: バケツの中にアジを詰め込みすぎると、互いの体が擦れ合い、泳ぐたびにウロコが落ちていきます。
結び:ウロコはアジの「命の鎧」
アオリイカが好むのは、ウロコがビッシリと揃い、銀色に輝きながら力強く泳ぐアジです。
スカリの中を覗いて、底にキラキラとウロコが溜まっていたら、それはアジからの「SOS」サイン。
小さな変化に気づき、アジを労わること。
それが、南紀の気難しい大型アオリイカを振り向かせる最大のテクニックです。

