釣り上げた直後のアオリイカを、その場で鮮やかに真っ白に染め上げる。
それは単に見栄えを良くするだけでなく、アオリイカを「最高の食材」へと変えるための最も重要な儀式です。
今回は、なぜアオリイカを絞める必要があるのか、そして失敗しないための完璧な手順を徹底解説します。
なぜアオリイカを絞めると身が白くなるのか
アオリイカの皮膚には、脳からの電気信号で伸び縮みする「色素胞」という袋が無数にあります。
生きている間は、周囲に紛れるためにこの袋を広げて色を変えていますが、絞めることでこの電気信号を物理的に遮断します。
信号が止まると、広がっていた色素胞がキュッと収縮します。
その結果、下地の白い身が透けて見えるようになり、あの鮮やかな「純白」へと変化するのです。
また、絞めることで身の鮮度低下(死後硬直)を遅らせ、甘みと歯ごたえを最大限に引き出すことができます。
狙うべきは「4つの神経ポイント」
アオリイカを完璧に絞めるには、体内に点在する神経の「中枢」を的確に突く必要があります。
以下の4か所を意識してください。
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脳(頭部神経節): 目と目の間にあり、顔と足の動きを司ります。
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内臓神経節: 胴体(外套膜)の付け根にあり、全身への信号を中継します。
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右外套神経節: 胴体の右半分の色をコントロールします。
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左外套神経節: 胴体の左半分の色をコントロールします。
実践!失敗しないアオリイカの絞め方
ステップ1:目と目の間(脳)を突く
まず、アオリイカを安定させ、目と目の間にある急所をピックで斜め45度の角度から刺します。
成功すると、まず目から下の足の部分がサッと白く変わります。
ステップ2:胴体の右半分を絞める
脳を突いた位置から、ピックを抜かずにそのまま胴体方向へスライドさせます。
右側にある神経を狙って深く刺し込むと、胴体の右側が瞬時に白くなります。
ステップ3:胴体の左半分を絞める
一度ピックを戻すか角度を変え、今度は左側の神経を狙います。
これで胴体の左側も白くなれば、全身の神経遮断が完了です。
ステップ4:クーラーボックスへ直送
絞め終わったら、真水に触れないよう袋に入れるなどして、氷で冷やしたクーラーボックスへ入れます。
「絞めてから冷やす」このスピードが、美味しさを決める最大のポイントです。
アオリイカの色の変化は、命をいただく釣り人だけが見ることができる、鮮度の証です。
4つのポイントをしっかり狙い、釣りたての最高の味を堪能してください。

