「アオリイカは流水解凍でも十分美味いよ」 そんな声をよく耳にします。
一方で、当ブログでは「冷蔵庫でのじっくり解凍」を推奨しています。
なぜ、流水解凍派の人たちも「美味しい」と満足できるのでしょうか。
そこには、アオリイカという素材の圧倒的なポテンシャルと、ちょっとした「味覚の落とし穴」が
関係しています。
理由1:アオリイカ自体の「旨味のポテンシャル」が凄すぎる
そもそも、南紀のアオリイカは「イカの王様」と呼ばれるほど、元々の旨味(アミノ酸)が非常に豊富です。
多少、流水解凍でドリップ(旨味成分の流出)が出てしまったとしても、それでもなお、
他のイカを圧倒するほどの甘みが残っているのです。
つまり、「本来の100%の美味しさ」が引き出せていなくても、残った70〜80%の状態で十分に
「合格点の美味しさ」に達してしまう。
これが、流水解凍でも満足できる最大の理由です。
理由2:冷たさがもたらす「食感の引き締まり」
流水解凍は、冷蔵庫解凍に比べて身がキュッと冷たく仕上がります。
刺身において「冷たさ」は鮮度感を感じさせる重要な要素です。
冷たいことで身が締まったように感じ、噛んだ時のコリコリ感が強調されるため、多くの人が
「これこそ鮮度が良い証拠だ」と脳内で美味しさを補正してしまうのです。
しかし、本来のねっとりとした究極の甘みは、やはり温度変化を最小限に抑えた解凍でしか味わえません。
理由3:比較対象が「古い生イカ」である場合
釣りたてをすぐに正しく冷凍したアオリイカは、スーパーなどで売られている
「数日経った生のイカ」よりも遥かに鮮度が高い状態です。
流水で少し雑に解凍したとしても、酸化が進んだ生イカよりは確実に美味しく感じられます。
「冷凍=不味い」という先入観がある中で、意外なほど美味しい冷凍イカに出会うと、
そのギャップから「流水解凍で十分だ」という結論に至りやすいのです。
本当の「極上」を知るために
もちろん、流水解凍が全否定されるわけではありません。
忙しい日常の中で、手軽に美味しく食べられる素晴らしい手法です。
ただ、もしあなたが「今日のアオリイカは特別大きなサイズだ」
「大切な人に最高の一皿を出したい」と思うなら。
ぜひ、流水解凍という「時短」の誘惑を断ち切り、一晩かけて冷蔵庫で眠らせてみてください。
「流水でも美味い」と思っていた概念が、根底から覆るほどの甘みに出会えるはずです。

