赤い体に、不釣り合いなほど鮮やかなエメラルドグリーンの胸ビレ。
釣り上げてバケツに入れた瞬間、ハッとするような美しさを見せる魚、ホウボウ。
「なんでこんな派手な色をしているの?」
「海底を歩いているけど、あれは足なの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか。
今回は、この奇妙で美しい「海のクジャク」の生態について、少し深掘りしてみましょう。
なぜクジャクのように「翼」を広げるのか?
ホウボウの最大の特徴である、あの大きな胸ビレ。
普段泳いでいるときは畳んでいますが、危険を感じたり、興奮したりすると大きく広げます。
これには明確な理由が2つあります。
1. 敵を驚かせる「威嚇(いかく)」
自然界では、急に大きくなったり、派手な色を見せたりするのは「自分を大きく、強く見せる」ための防御本能です。
普段は地味な赤い魚だと思わせておいて、敵に襲われそうになった瞬間、バッとあの派手な翼を広げます。
「うわっ!なんだこいつ!?」
捕食者が一瞬ひるんだ隙に逃げるための、生きる知恵なのです。
2. 鮮やかな「青い斑点」の意味
緑色のヒレの中に散りばめられた、鮮やかなコバルトブルーの斑点。
これもただの飾りではありません。
これは蝶の羽にある目玉模様と同じような効果があり、相手に対して「強い警戒心」を与えるサインだと言われています。
暗い海の中で、あの青色は意外なほど目立つのです。
海底を歩く「足」の正体は?
ホウボウを観察していると、器用に海底をカサカサと歩いている姿を見かけます。
まるで昆虫の足のようにも見えますが、実はあれ、**「ヒレ」**なんです。
正確には**「遊離軟条(ゆうりなんじょう)」**といいます。
胸ビレの一番下の骨が3本だけ分離して、太く進化したものなのです。
しかもこの足、ただ歩くだけじゃありません。
「味」がわかるんです。
この足の先には味蕾(みらい)という味を感じるセンサーがついています。
砂泥の中をこの足でガサガサとかき回しながら、
「ここにエサ(ゴカイや小エビ)がいるかな?」
と、指先で味見をして獲物を探しているのです。
進化の過程で、泳ぐことよりも「海底の掃除機」になることを選んだ、非常に合理的な体なんですね。
まとめ
派手な翼は、身を守るための「盾」。
器用な足は、美味しいご飯を探すための「センサー」。
ホウボウの奇妙な姿には、厳しい海で生き残るための理由がすべて詰まっています。
ちなみに、白身で非常に美味しい魚としても有名です。
次に釣れたときは、すぐにクーラーボックスに入れる前に、バケツの中でその美しい「求愛行動」
ならぬ「威嚇行動」と、可愛い「あんよ」を観察してみてください。
魚の進化の不思議さを、目の当たりにできますよ。

