日本人なら誰もが愛する魚、マグロ。
回転寿司でもスーパーでも主役ですが、一口に「マグロ」と言っても、実は全く別の魚だということをご存知でしょうか。
一匹数百万円の値がつく「海の王様」から、缶詰になる「大衆の味方」まで。
そこには明確な「カースト制度(ランキング)」が存在します。
今回は、マグロの全種類とランク、そしてマグロ船の漁師が「クロマグロ」と「トンボマグロ」を釣り上げた時の、天国と地獄のような温度差について解説します。
第1章:マグロ界の「格付け」ランキング
日本の市場で流通する主なマグロは5種類。 値段と格の高い順に並べると、こうなります。
【第1位】 クロマグロ(本マグロ)
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別名:海の黒いダイヤ
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特徴:圧倒的王者。巨大で、肉質は濃い赤色。酸味と濃厚な脂のバランスが神レベル。
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用途:高級寿司、高級料亭の刺身。
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価格:超高級。初競りで億の値がつくのはコイツです。
【第2位】 ミナミマグロ(インドマグロ)
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別名:南の女王
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特徴:クロマグロに匹敵する脂の乗り。甘みが強く、ねっとりとした食感が特徴。
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用途:高級寿司店。通は「クロよりミナミが好き」と言う人も。
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価格:高級。
【第3位】 メバチマグロ
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特徴:目がパッチリ大きい。鮮やかな赤身が特徴で、変色しにくい。
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用途:スーパーの刺身、中級寿司店。日本の食卓を支えるエース。
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価格:中級。一般的。
【第4位】 キハダマグロ
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特徴:肌(ヒレ)が黄色い。脂は少なめで、あっさりとした味わい。
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用途:関西で好まれる。刺身、カルパッチョ、ツナ缶。
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価格:庶民派。リーズナブル。
【第5位】 ビンナガマグロ(トンボ・ビンチョウ)
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特徴:胸ビレがトンボのように長い。身は白っぽく柔らかい。
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用途:回転寿司の「ビントロ」、シーチキン(缶詰)、フライ。
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価格:大衆派。安い。
第2章:漁師の悲喜こもごも。「クロ」と「トンボ」の決定的差
では、マグロ船の漁師にとって、この違いはどう映るのでしょうか。
結論から言うと、**「クロマグロはボーナス、トンボはため息(場合による)」**です。
クロマグロが掛かった時
船上はお祭り騒ぎです。
一匹で数百万円、時には一千万円を超える臨時収入。
「やったぞ!家が建つぞ!」と、アドレナリンが噴き出し、丁寧に丁寧に扱います。
トンボ(ビンナガ)が掛かった時
もし、クロマグロ狙いの仕掛けにトンボが掛かったら。
「なんだ、お前か…」とガックリくるのが本音でしょう。
単価が安い上、暴れて仕掛けを絡ませることもあるため、「邪魔者」扱いされることも。
クロマグロ1匹の値段は、トンボマグロ数千匹分に相当することもあるのです。
第3章:でも待って!南紀の「モチトンボ」は別格
ここまでトンボマグロを「安物」扱いしてしまいましたが、我らが南紀・和歌山では事情が少し違います。
南紀では、春先に黒潮に乗ってやってくるトンボマグロを名産としています。
特に、釣り上げてすぐに活け締めされ、一度も冷凍されずに市場に出る「生トンボ」。
これは**「モチトンボ」**と呼ばれ、別格の美味さです。
モチモチとした食感、とろけるような脂。
缶詰のパサパサしたイメージとは正反対の、極上の刺身になります。
南紀の漁師や釣り人にとって、トンボは「がっかり」する魚ではなく、「春を告げる美味しいお土産」なのです。
まとめ:適材適所で輝くマグロたち
王道のクロマグロも最高ですが、さっぱりしたキハダや、モチモチのトンボにも、それぞれの良さがあります。
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特別な日はクロマグロ。
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普段の晩酌はメバチやキハダ。
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南紀に来たら、生のトンボ。
それぞれの個性を知って食べ分ければ、マグロライフはもっと豊かになります。

