イトヨリダイの生態・特徴・市場価値・食べ方を徹底解説!「海の貴婦人」と呼ばれる理由とは?

ピンク色の魚体に鮮やかな黄色のライン。

まるで着物の柄のような美しさから「海の貴婦人」とも称される高級魚、イトヨリダイ(糸縒鯛)。

船釣りのゲストとして釣れることが多いですが、実はマダイ以上に喜ぶ釣り人も多い、非常に価値のある魚です。

今回は、このイトヨリダイについて、どこよりも詳しく生態から食味、市場価値まで徹底解説します。


イトヨリダイの基本データと名前の由来

標準和名: イトヨリダイ(糸縒鯛) 学名: Nemipterus virgatus 分類: スズキ目イトヨリダイ科 英名: Golden threadfin bream

名前の由来は、その美しい見た目にあります。

体側の黄色い線が、金糸を縒(よ)り合わせたように見えることから「糸縒(いとより)」と名付けられました。

また、尾ビレの上端が糸のように長く伸びている姿も、名前の由来の一つとされています。

関西や和歌山では単に「イトヨリ」と呼ばれることが一般的です。


【見分け方】ソコイトヨリとの違いは?

イトヨリダイには、非常によく似た近縁種「ソコイトヨリ」が存在します。

市場では混同されることもありますが、釣り人なら明確に見分けたいポイントです。

以下の特徴があれば、本種の「イトヨリダイ」です。

  1. 体側の黄色いライン イトヨリダイは6本の黄色い縦縞が明瞭に入ります。 一方、ソコイトヨリは腹部に太い黄色のラインがあるのが特徴です。

  2. 背ビレの模様 イトヨリダイの背ビレには、黄色い縦縞が入っていません(もしくは不明瞭)。 ソコイトヨリの背ビレには、鮮やかな黄色のラインが入ります。

  3. エラ蓋の赤い点 イトヨリダイのエラ蓋(耳のような部分)の始まりに、小さな赤い斑点があります。 これが見分けるための決定的なポイントの一つです。


イトヨリダイの生態と生息域

生息場所

水深40m〜100m程度の、やや深場の砂泥底を好みます。

岩礁帯そのものよりも、岩礁帯に隣接した砂地などに多く生息しています。

アマダイやレンコダイ(キダイ)と同じような場所にいることが多く、船釣りではこれらの魚と混じって釣れることがよくあります。

食性

肉食性です。

海底の砂泥の中に潜む多毛類(ゴカイなど)や、小型の甲殻類(エビ・カニ)、小魚を捕食しています。

砂泥底の海底近くを、胸ビレを使ってホバリングするように泳ぎ、餌を探しています。

産卵期

主な産卵期は初夏から夏にかけて(5月〜9月頃)。

この時期は浅場に乗っ込んでくるため、比較的釣りやすくなります。


市場価値:なぜ高級魚とされるのか?

イトヨリダイは、スーパーの鮮魚コーナーで安売りされることは滅多にありません。

豊洲市場などの卸売市場でも、常に高値で取引される「高級魚」の部類に入ります。

その理由は大きく3つあります。

1. 見た目の美しさ

「祝い鯛」のマダイと同様、その華やかな見た目は祝宴や高級料亭の椀物に最適です。

皮目の美しさを活かした料理に使われるため、皮が傷ついていない個体は特に高値がつきます。

2. 上品でクセのない味わい

京料理や懐石料理で重宝される、極めて上品な白身です。

身に水分を含んでおり、加熱してもパサつかず、しっとりとした食感に仕上がります。

3. 練り製品の最高級原料

実は、高級カマボコやちくわの原料としても最高クラスの評価を得ています。

すり身にすると粘りと旨味が出るためですが、釣り人が釣るような良型をすり身にするのは、

あまりにも贅沢と言えるでしょう。


究極の食味:おすすめの食べ方

イトヨリダイの身質を一言で表すと「水分が多く、柔らかいが、旨味が強い」です。

この「水分の多さ」をどう料理するかが、美味しく食べるコツです。

刺身・昆布締め(皮霜造り)

鮮度が良ければ刺身は絶品です。

ただし、身が柔らかいため、捌いてから少し脱水シートに包むか、昆布締めにすると身が締まり、旨味が凝縮されます。

また、皮と身の間に強い旨味があるため、皮を引かずに湯引き(皮霜造り)や焼き霜造りにするのが一番のおすすめです。

酒蒸し・マース煮

イトヨリダイの真骨頂は「加熱調理」にあります。

水分を含んだ身は、蒸したり煮たりすることで、ふっくらとした極上の食感に変わります。

和歌山や沖縄で好まれる「マース煮(塩煮)」や、中華風の酒蒸し(清蒸)にすると、

高級レストランの味になります。

ポワレ・ムニエル

フレンチやイタリアンでも定番の食材です。

皮目をパリッと焼き上げるポワレは、皮の香ばしさと身の甘みが相まって非常に美味です。

オリーブオイルやバターとの相性が抜群に良い魚です。


まとめ

イトヨリダイは、狙って釣るというよりは、アマダイ釣りやマダイ釣りの嬉しいゲストとして出会う魚です。

しかし、その価値は本命に勝るとも劣りません。

「外道」と呼ぶにはあまりに失礼な、食卓の主役を張れる魚です。

もし釣り上げたら、その美しい姿を写真に収め、皮目の旨味を活かした料理で、余すことなく堪能してください

 

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